「感性を磨く」に効く3冊|クリエイターの本棚

『センスメイキング 本当に重要なものを見極める力』(プレジデント社)


そんなさなか、日本の美意識再興の狼煙を上げたのがマツダだ。同社は2012年に発表したSUVの「CX-5」以降、「魂動デザイン」というコンセプトを打ち出し、世界の熱い視線を集め続けている。

『デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す』(光文社新書)には、著者であり、マツダの常務執行役員デザイン・ブランドスタイル担当である前田育男氏とマツダ社員たちによる「美意識ドリブン」のものづくり、ブランドづくり、組織づくりの軌跡が描かれている。



理想論を語るだけではなく、現実に「SKYACTIV TECHNOLOGY」という「サイエンス」と「魂動デザイン」という「アート」を融合させきたストーリーはまさに圧巻であり、ものづくりに携わる人はもちろんのこと、ビジネスに関わる多くの人に勇気を与えてくれるだろう。

「IT領域で日本は大きく出遅れた」「AI分野で、世界と比べて日本は周回遅れだ」などと言われて久しい。しかし、だからと言って、「GAFA(google, apple, facebook, amazon)に続け」と盲信的にIT先進国の後を追おうとするのではなく、今一度冷静にセンスの重要性を見直し、美意識の研鑽に取り組み続ければ、ポスト平成のビジネスに活路を見出すことができるのではないだろうか。そんな希望を持たせてくれる3冊に出会ったように思う。

文=川下和彦

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