都内でも観光地でも なぜ「謎解き」が流行っているのか?

図1

上記の図1をご覧いただきたい。これは、謎解きゲームで出題される「謎」のひとつで、迷路をGOALまでたどりながら、途中に置かれた暗号を繋ぎ合わせ、パズルを解いていくものだ。経験や知識ではなく、発想やひらめきで解くことができるものが多い。正解は最後に記しているので、答えを考えつつ、本文を読んでいただきたい。

近年、謎解きゲームや脱出ゲーム、という言われる分野が盛り上がりを見せている。「謎解きイベントカンファレンス」によると、2009年ごろから普及しはじめ、市場規模は2015年時点で400億円、延べ体験者数は500万人を超え、現在もその傾向は加速していると予想される。


謎解きゲームの料金の相場は、大人1名2000円から3000円程度で、大きく「イベント型」と「周遊型」の2種類に分けられる。

イベント型は、特定の施設内で限られた時間に同時進行で行うため、運営スタッフが必要であり、集客リスクも高い。一方、周遊型は、話題性や集客力は低くなる代わりに運営コストが低い。商店街や観光名所にチェックポイントを置くスタンプラリーに謎を加える形で提供されることが多く、運営スタッフがいないケースもある。

この周遊型の謎解きゲームが、自治体をはじめ様々な観光地や観光スポットで企画され、新たな観光誘客に成功しているケースをよく見かける。

地下鉄でも、鳥取砂丘でも

代表的な成功事例としてあげられるのが、東京メトロの「地下謎への招待状」である。2014年に開始し、当時は約2万人規模だったものが、2018年の体験者数は約9万人まで拡大。東京メトロが実施するイベントの中でもエース級の企画にまで成長し、他の鉄道会社からの視察も多いという。また、伸張するインバウンド市場を見据えて英語版も提供している。



担当する需要創出・マーケティング部の佐々木舞氏は、「謎を仕掛けることで普段下車する機会が少ない駅に降りる機会を提供できる。東京メトロとしても商店街や沿線地域との交流を図る機会が増え、地域消費への貢献も実感している」と語る。

体験者数が年々増えてきているため、全員が同じルートを通らなくてもゴールにたどり着けるなど、参加者の分散にも気を配っているという。

ほかにも、静岡県沼津市の「あわしまマリンパーク」は、新世代アイドルプロジェクト「ラブライブ!」と組み「孤島の水族館からの脱出」を企画。神奈川県横須賀市の猿島では無人島を活かした謎解き、鳥取県の鳥取砂丘でも「鳥取砂丘謎解きゲイム」を展開するなどレジャー施設内や観光地での謎解きがかなり増加している。

宮崎県の最南端、串間市の都井岬は日本でも数少ない野生馬の生息する地域だが、この観光資源を活かし、野生馬の実話をもとにした謎解きを展開。こちらも参加者だけで都井岬内を巡り、LINEを活用して謎を解いていく形をとっている。宮崎県内だけではなく、謎解きが好きな人たちが、東京や関西、福岡エリアなど遠方からも足を運ぶ機会につながっている。



これだけ、さまざまな地域で特に周遊型の謎解きが生まれているということは、それだけ需要と供給が一致しているからだろう。

私も、今まで多くの地域や観光地で謎解きの制作者から話をきく機会や、体験することも増えてきた。上記のように、謎解きが各地域で、増えてきた理由を運営者の観点から考察してみたい。
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文=内田 有映 謎制作・協力=鈴木大輔

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