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2019.03.22

作業着を纏い、泥臭く進む元エリート。40兆円市場に潜む不条理を壊す


アップルで磨いた技術力×マッキンゼー仕込みの現場力

マッキンゼー在籍中の2016年から起業準備をはじめ、マーケティングと並行しながら、提携加工会社を一つひとつ開拓していく。ビジネスサイドを加藤が主導する一方、テクノロジーサイドを担当したのが、共同創業者でCTO(最高技術責任者)の小橋昭文だ。

小橋は、スタンフォード大学・大学院で電子工学を専攻し、米航空機・宇宙船開発製造ロッキード・マーティン社に5年間勤めた後、米アップル社に就職、シニアエンジニアとしてAirPodsの開発などに従事していた。

画像解析技術やアルゴリズムの知見を活かし、独自の自動見積もりプログラムを開発。3D CADデータを読み込み、数量や材質、塗装などのパラメータを指定すると、「約7秒」で価格と納期を自動算出することができる画期的なシステムを実装した。

つまり、メーカー側がCADDiのプラットフォームにデータをあげると、複数加工会社で相見積もりを取って2週間かかっていたものが即座に完了。設計図から「その部品加工の得意な会社」とのマッチングも可能になるのだ。さらっと述べているが、これまでの非効率さを考えると、画期的、いや衝撃的なサービスなのである。

小橋のエンジニアリングがすごいことは言うまでもないが、このシステムを開発する上で必要不可欠なのが、各提携加工会社の「強み」の把握と、実際にやり取りされているデータだ。

「創業からマッキンゼーの同僚である幸松(大喜)がジョインしたのですが、辞めてから3カ月間、フルタイムで加工会社に勤め、現場作業に取り組んでひたすら現場の「負」や実情を体験してきてくれました。今でも継続的に現場へ足を運び、実際の現場感に基づいてアップデートしています」

ここで一つ、キャディのユニークなエピソードを紹介しよう。町工場の技術力がビジネスの源泉と語るだけあり、パートナーへの対応が極めて丁寧なのだ。

「業者」や「(案件を)投げる」といった言葉は禁止、発言した人間はいつか使うであろう、会社の交流費として貯金箱にいくらか”寄付”している。

また、製造業の世界では当たり前の「半年後の小切手払い」も禁じており、当月締めの翌月払い。町工場の経営者は目を丸くし、『これまでそんな対応してくれた会社はなかった』と言う。

真摯な対応が品質となり技術力となり、発注側にとってもメリットとなる。あらゆるステークホルダーとの信頼関係を意識した賢明な対応と言えよう。

サプライチェーンのインフラを再構築し、日本の工場を救う

ふと気になった。加藤はなぜ、日本の町工場に執着するのだろうか、と。

「日本の大手メーカーの下請けを50年ほど続けてきた企業を訪ねたとき、20人ほどいた社員が、今は60歳くらいの社員たった一人だというんです。僕自身、非常に強みのある会社だと思っているのに、その人は『あと1、2年で会社は終わりだね』と。

ずっと同じ会社と取引してきたから、そこしか評価軸がなく、自分の能力を適切に測ることができない。世界をみても、『何十年もずっとこれをやり続けてきた』という強みは、意外とレアなんですよ」

通常、板金加工大は物/小物の2種類くらいざっくりとしか分類されないことが多い。ただ、キャディでは321種類に分類し、そのなかで『どの部分が他社に比べて強いか』といった特徴・優位性を割り出しているのだ。そうやって町工場一つひとつの強みや特徴を可視化し、「製造業の受発注を中心としたインフラ」の構築を進めている。

そして、その先に見据えるのは、3年後の機能拡充と海外展開だ。「町工場のキャッシュフローは非常に悪く、資材調達から入金まで半年かかる。3億円の売上を得るのには1億円の資材購入が必要で、運転資金に困っている会社が多い。

そこでCADDiのプラットフォームにファイナンス機能を持たせ、生産管理や物流最適化などをサービス化し、ステークホルダーに必要な機能を拡充していければと。結果、技術力はあるが潰れる会社をなくし、帳票作業に追われる調達部門の仕事も創造的にしていきたいんです」。

40兆円の市場で調達のイノベーションが加速している。ただ、加藤の視座はいい意味で変わらない。「パッションと技術力がある会社が潰れる理不尽を無くしたい」、彼の原動力は常にここから生まれているのだ。

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