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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信


デビッドソン内野手も、去年所属したホワイトソックスとの契約がこじれたときに、レンジャーズが二刀流の候補としてアプローチし、リリーフ要員と野手を兼ねることを狙って今年から契約をした。

シーズン終盤までは25人しかベンチに入れないという現実を、誰も所与の壁として何ら疑うこともなく、投手と野手と補欠を揃えるという布陣しか考えてこなかったMLBの戦い方だったが、大谷の二刀流の活躍で、大きく変わりつつあるのだ。

MLBに大谷翔平賞が誕生する!?

こうなると、選手のプロフィールを投手とするのか野手とするのか、その守備ポジションの「定義」があいまいになり、MLB機構は、歴史始まって以来初めて、「今後どのように二刀流選手の登録守備位置を定義するのか」について最高幹部レベルでの協議がもたれている、ともWSJは前述の特集記事のなかで報じている。

さて、このように、あいかわらず大谷についてのアメリカ人の目線は、敬意と思慕に包まれている。人種問題でますます揺れるアメリカだが、「誰もやらなかったことをやって結果を出した人」に対する尊敬は、すべての偏見を超えるというのがこの国らしいところでもある。

そして、効果が証明されると、すぐに自分たちも試してみるのもアメリカだ。野球の伝統的な選手の評価方法に異議を唱えた「セイバーメトリクス分析」も、弱小チームだったオークランド・アスレチックスが90年代後半に採用を始めて、チームが連戦連勝をすると、他のチームも飛びついて、今や野球界の常識の「モノサシ」となっている。このエピソードは、ブラッド・ピットの主演で「マネーボール」として映画化された。

今後、MLBの各球団は、過去の常識を捨て、大谷の成功を大谷だけの個別事情と断ぜず、世の中にたくさんいるユーティリティプレーヤーや二刀流をどんどん見直し、コンバートを盛んに発動して、多くの選手が大谷に続くであろう。もちろん、スカウティングのやり方もドラフトもどんどん変わっていく。その意味で、MLBの野球は一層戦略的になり、面白さが増すかもしれない。

大谷が野球そのものを面白くすることで、アメリカンフットボールやバスケットボールに人気を押されていたアメリカの野球界も、大きく飛躍しそうだ。もしMLBに二刀流賞が生まれるとき、それはきっと大谷翔平賞と名づけられるに違いない。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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