ビジネス

2019.03.13 12:00

ネットフリックスを脅かす「他社コンテンツ」への依存体質


米国の加入者のうち、ほぼ他社のコンテンツのみを視聴していたユーザーの割合は、2017年には40%を超えていた。そうしたユーザーの数は、昨年には2分1程度に減ったとされているが、それでも割合は20%(約1200万人)だ。つまり、これらのユーザーは同社が昨年までに公開したおよそ700のオリジナル・コンテンツを、ほとんど視聴していなかった。

実際のところ、同社がオリジナル番組を膨大な数に増やしていることは、問題をさらに悪化させている可能性がある。ある調査によれば、コンテンツの数があまりにも多い場合、消費者は最も親しみのある番組を選ぶ傾向があるという。

お金で解決できない問題

ネットフリックスは昨年、コンテンツに130億ドルを費やした。そのうち85%が、オリジナル番組に充てられた。同社は戦略の限界を認めるどころか、問題となっているその戦略に今後、より多額の資金を投入するつもりのようだ。

今年の予算について、同社はコンテンツ別の詳細を明らかにしていない。だが、コストはこれまでと同様のペースで増加を続け、今年は175億ドルに達するとみられている。一方で、同社の売上高は、支出の増加を賄えるほどには増えていない。

コンテンツ制作にかかるコストの増大を受け、同社は料金の値上げに踏み切った。これは、ディズニーなど3社の成長の可能性を高めることにつながるだけだ。ユーザー数の増加のペースが鈍化する中で3社がサービスに参入すれば、ネットフリックスは一層大きな打撃を受けことになるだろう。

筆者が経営する調査会社ニュー・コンストラクツのデータが示すところでは、ネットフリックスが最近の評価額を妥当なものとするためには、ユーザー数を5億人(現在のおよそ3倍)にまで増やす必要がある。

だが、現在の競争環境から考えれば、それが実現されるというシナリオはありそうもない。

編集=木内涼子 文=David Trainer

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