ビジネス

2019.03.16

学校の先生だって学びたい、でもその機会が少ない。これも地域格差問題だ

(Andersen Ross Photography Inc / Getty Images)

私のフェイスブックのタイムラインには、元中学校教諭という仕事柄、さまざまな教育系のセミナーやイベントのお知らせがよく流れてくる。

最近では、プログラミング教育に関するセミナーのお知らせが多い。2020年度から小学校では、新学習指導要領が完全実施される。その中で目玉と言われているのが、「小学校におけるプログラミング教育の必修化」だからだ。

公立の学校に勤めていた私は、こういった教育関連のセミナーやイベントは後学のために受けたいと思っても、ほとんど参加できなかった。

意外と知られていないかもしれないが、学校の教員には研修の義務があり、その機会は保証されなければならない。

そのことは、法律に明記されている。例えば、教育関係の最高法規である教育基本法には「教員については……養成と研修の充実が図られなければならない」と明記されているし、教育公務員特例法にも、「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」とされている。

これらの法律を根拠に、学校内で校内研修の時間が設けられたり、都道府県・市町村の教育センターで教員向けの官製研修が行われたりするのである。

子供たちを教える先生は、常に先を見据えて勉強したいと思う人が多い。ところが、ここで大きな問題が立ちはだかる。

官製研修以外の魅力的なセミナーやイベントの多くは首都圏など大都市で行われることが多く、地方ではめったに行われない。私も大分にいるため、ほとんど参加できた試しがない。

中学校では、週末も部活動の指導があったりたまっている事務仕事をしたりすることが多いため、気軽に出かけることができないのだ。

大分から東京の無料セミナーに行くとしたら…

大分県は東九州にあり、西九州に比べて新幹線などの交通網が未発達のため、交通手段は限られている。

・JR(鉄道)を使う。大分~(特急)~小倉~(新幹線)~東京
・飛行機を使う。大分~(空港バス)~大分空港~羽田(あるいは成田)~都内
のどちらかだ。

それぞれをシミュレーションしてみると、

JRでは、片道6時間30分ほどかかる(特急→小倉で新幹線に乗換)。片道運賃は自由席2万4000円ほどである。早朝大分を出発したとしても、着くのは昼過ぎ。午後の無料セミナーに参加したとして、帰りは・・・その日のうちには帰りつかないと思われる。往復運賃は5万円弱にもなる。
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文=望月陽一郎

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