Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


佐藤可士和との出会い「最初は乗り気じゃなかった」

──ジョン・ジェイさんとの親交が、御社がクリエイティブに力を入れていくきっかけになったのですね。それが佐藤可士和さんにもつながっていくのでしょうか。

日本には、ジョン・ジェイのように優れたクリエイティブ・ディレクターがいるとは思えませんでした。ジョン・ジェイはもともとデパートの小売部門にいたこともあり、ファッションや小売のビジネスに精通していましたが、日本のクリエイターや広告会社で、クライアントのビジネスを深く理解している人は少ない。ジョン・ジェイも、「日本のテレビCMは視聴者に敬意を示してない」と手厳しい意見を持っていました。

佐藤可士和さんとは、紹介者のご縁でお会いすることになったものの、そういう経緯があったものですから、日本のクリエイターには懐疑的な見方しかなく、お会いするのは正直、嫌々でした。ところがです。

可士和さんの事務所で、当時デザインされていたNECの携帯電話を見て一目惚れしてしまいました。私は携帯電話をまったく使わないのですが、その場で「これ買います」と衝動買いするほどの出来栄えでした。

その一件で、この人はクリエイティブを本当によく分かっていると可士和さんに惚れ込み、大きなクリエイティブの仕事を次から次へとお願いしました。彼との出会いは2006年2月ですが、9月にはファーストリテイリングとユニクロのロゴや書体を刷新し、11月にニューヨークのソーホーにオープンさせるグローバル旗艦店のクリエイティブ・ディレクションもお願いしました。1000坪もある大型店です。準備期間が1年もないなかで、彼と一緒に店舗をつくり上げました。

その後も可士和さんとは、ファーストリテイリングやユニクロのグローバルブランド戦略を一緒に議論してきました。ジョン・ジェイがファーストリテイリングに加入してからは、彼の力も借りて、ブランド価値をいかに高めるかを一緒に考えています。

──元『POPEYE』の木下さんにはどのような役回りを期待されているのでしょうか?

木下さんが手塩にかけて育てた『POPEYE』は、欧米のファッション誌を超えています。彼は自分の足と目で取材し、細部までこだわって雑誌をつくっています。美意識がすごい。欧米のファッション誌は完全に宣伝ですから、桁違いです。

そういう「編集者」の視点で、ユニクロの服やブランドに磨きをかけてほしい。何かをつくるということは、何を選んで何を捨てるかを決める「編集」みたいなものだと思いますから。特に、彼のファッションへの理解力には期待しています。私だけでなく、社内のみなが彼をお手本にしています。

2018年の秋、国内のニットメーカー島精機製作所さんと、パリでニットの展覧会を開催しました。その展示スペースやブックレットの編集を、木下さんにお願いしました。ほかにも、グローバルなブランド価値を高めていくうえで、日々私たちから発信する情報についても、彼の編集力を発揮していってほしいと思っています。

【関連】アートはユニクロの経営に生きるか? 柳井正が「才能」に投資する理由

構成=萱原正嗣 写真=アーウィン・ウォン

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい