筆者:金融業界がよりインクルーシブになるためにできることは?
シモンズ:まずは、実際にインクルーシブになりたいと思うこと。インクルージョンや多様性、女性のエンパワーメントはホットなトピックで、話題を呼ぶ言葉です。人々はこうした言葉に飛びついているけれど、その実現に向けた信念を実際には持っていない。本当にこれを実現したい企業は、経営陣の多様性も向上させるはずで、全員が白人男性にはならないはず。多様性を本当に議論したいのであれば、多様性を実践しなければならないし、本気で望まなければならない。
ミレニアル世代は今後、このナラティブを変えます。この世代は現状に嫌気が差し、自分たちだけのヘッジファンドや未公開株式投資会社、金融機関を設立し、全面的に多様性を取り入れる世代になります。
筆者:この分野での先駆者になったことについてはどう感じていますか?
シモンズ:自分の名前を歴史に刻む式典があって、ニューヨーク証券取引所の帳簿に、ロックフェラー家の人やバンダービルト家の人の隣に自分の名前を書きました。家族全員が立ち会う中で、NYSEの文書保管係が私のところに来て、その部屋にいる人全員の前で「あなたは2人目のアフリカ系米国人だ」と言いました。その瞬間を家族と共有できたことは素晴らしいことだした。いまでも素晴らしい気持ちになります。
でも、これが2017年だったことに気づくと、うれしいと同時に失望した気持ちになります。なぜ私だけなのでしょう? 私は2人目のアフリカ系米国人と称賛されるためにこの仕事をしているのではありません。もちろんこれは素晴らしいことだけれど、私がしたいのは、より多くの女性がこの仕事に就くように勇気付けること。そして、恐怖に負けて素晴らしいことへの挑戦を諦めることなく、ガラスの天井を壊し続けてその状態を当たり前のものとするように励ますこと。これが、私が最終的に伝えたいメッセージです。