カジュアルウェアに機能を付加するとスポーツウェアになる
スポーツはやっぱり世界共通ということも大きいですね。アスリートが必死で戦う姿を見るのは、ユニクロの社員にとってもファンにとっても励みのひとつになります。
もうひとつの背景として、アパレルのトレンドもあります。カジュアルウェアに機能を付けていくとスポーツウェアになりますし、反対に、スポーツウェアがカジュアルウェア化している流れもあります。テニスウェアもゴルフウェアもスノーボードのウェアも、普段着にしたっておかしくない。そういう狙いもあって、アスリートを支援しています。
──2018年は、テニス界のレジェンドであるロジャー・フェデラー選手、平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでも活躍したスノーボードの平野歩夢選手との契約が話題になりました。
フェデラー選手は非常に偉大な選手です。04年から237週連続、5年近くも世界ランク1位の座に君臨し続け、グランドスラム最多優勝20回、ウィンブルドンでの最多優勝8回を数えます。そんなフェデラー選手ももう37歳、テニスではもう大ベテランの域ですが、いまだに世界のトッププレーヤーとして活躍し続けている。
そのことも驚きですし、彼が長年、社会貢献活動に取り組み続けてきたことにも敬意を抱いています。フェデラー選手とは、選手として支援するだけでなく、一緒に社会貢献活動にも取り組んでいきたいと思っています。
平野歩夢選手は10代前半で世界トップレベルに登りつめ、2013年には世界大会で優勝、ツアーで年間王者にも輝きました。2014年のソチオリンピックと2018年の平昌オリンピックは2大会連続で銀メダルを獲得しています。
20歳になったばかりの平野選手ですが、すでに偉大な成果を残していますし、若い人たちに情熱を持って何かに取り組むことの大切さを伝えています。彼のその姿に感銘を受けました。彼なら間違いなく、若い人にとってのユニクロブランドのいい象徴になるはずです。
──最初に人のつながりで始まったものが、今のような形になっていったということですね。グローバルブランドアンバサダーはこれからも増やしていくお考えなのでしょうか?
私たちは、本当に良い方で、この人だったらと思える人とパートナーシップを結んでいます。アンバサダーですから、そんなに大勢は必要ありません。世界で戦っていける力があり、ユニクロと社会貢献活動を進めていけるような方にアンバサダーをお願いしています。今後もそのような方との出会いがあれば、うれしいですね。
明日は「ファッションとアート」の関係性を聞く。柳井はなぜ、アート作品を収集するのか。そしてユニクロがMoMAやロンドンのテート・モダンなど、海外の美術館とコラボレーションを進めてきた理由とは。