Forbes JAPAN Web編集部 前編集長




松下社長のデザインへのこだわりは相当なものだ。「美顔器にしても、下手なオブジェよりも美しいものを作りたいと思っています」

「例えば、技術者や開発者が先行して進めると、どうしてもプロダクトの形は大きくなっていってしまうんですよね。大きくした方が設計が楽ですから。でもそれではダメです」

それではどのようなプロセスで商品をつくるのか。「お客様が手に取りたくなるような、美しくて、部屋に飾りたいくらいのプロダクトをどうやって作るかが重要です。まずはそんな理想のモックのデザインを先に作って、それから、それに合わせた設計を考えるんです。設計ではかなりの革新を起こさないと、理想のデザインには近づけない。でも、部品は凄まじいスピードで進化し続けていますから、きっと無理なことはない。そうやって突き詰めていきます」

一つひとつをこだわり抜く。「例えばパッケージも製品を入れて運べばいいというだけではありません。商品がプレゼントされ、箱を開けた瞬間に喜んでもらえるようなパッケージにしたい。パッケージそのものも商品になるという考えで作ってきました」

「技術や性能はいい製品の条件ですが、それだけじゃダメなんです。その商品をどうやってお客様に知ってもらうのか、興味を持ってもらうのか、あらゆることを含めてブランド化していこうと。商品には一つひとつにストーリーがある。そのストーリーをどう表現するかも重要なんです」

悩みは、と尋ねると「社内にネタがありすぎることでしょうか」。全てのブランドで、5年先のリリースまで見越せるほどの新商品のネタがあふれているのだという。他の企業から「新事業のネタがない」「なぜそんなに新商品や新事業のネタがたくさん出てくるのか」と質問や相談を受けることもあるそうだ。

「日本列島、ネタだらけ」 異業種にこそ、たくさんのヒントがある

「業界内だけを見ていてはいけないと思います。実は異業種にこそ、学ぶもの、ヒントになるものがたくさんあるんです。固定概念をなくし、フラットに考えれば、たくさんのヒントがあるんです。日本列島、ネタだらけじゃないかと思うんですよね。ある分野では普及しているのに、別の分野ではまだ使われていない技術がたくさんある。大学や研究機関で研究されていている技術で、まだ商品化されていないネタも多いですね」

例えば炭酸ガス。専用の炭酸ガスのカートリッジを使い、99%の高純度の炭酸を化粧水に閉じ込め、ミスト状にして顔に吹き付けられる機器「ReFa MIST(リファ ミスト)」は、カセットコンロのガスボンベからヒントを得たものだった。



もともと10年来、炭酸の健康・美容効果に着目していたという。炭酸風呂は一般的になった。ドイツでは炭酸は病気の治療でも使われていると知った。例えば化粧水に炭酸を入れて売ると容量が限られ、炭酸が抜けてきてしまう。純度の高い炭酸を含みたての化粧水を直接顔に吹きかけるには──。そこでガスボンベをヒントに、カートリッジ式の炭酸ガスに辿り着いた。

「例えばコスメだけの力、機器だけの力だけでなく、双方の力、シナジーでさらにすごい効果を生み出していく。化粧品だけでは、また機器だけでは実現できないが、掛け算にすると非常に高い効果が得られる。『ユナイテッドビューティー』と呼んでいます」

「ReFa MIST」については、販売形式ではなく、最近トレンドのサブスクリプションモデルも検討しているという。機器を販売するのではなく月額制で使用できるようにし、炭酸のボンベが定期的に届く仕組みだ。

ネタが尽きないのには仕組みがあった。 MTGでは約10人のインキュベーションチームを設けている。異業種や大学、国内だけでなく中国の深センやシリコンバレーなど国外から様々な技術を見つけ出すチームだ。既存のブランドの付加価値を上げるための技術や、新しいブランドを生み出すための技術を調査し、社長自らも報告を受ける。

文=林亜季 写真=柴崎まどか

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