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2019.03.28 14:30

マーケの鬼を本気にさせた逆発想のモノづくり

ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 高岡浩三

人は、最高のものを手にするとそのまた一歩先を見たくなる。ネスレ日本の高岡浩三は“革新のドライバー”を手にした時、完全無敵のイノベーションの扉を見たかもしれない。ゴルフというジャンルは毎年多くの新商品が登場する。しかしテーラーメイドの新しいドライバー「M5/M6」シリーズはその発想から違っていた。何が違うのか。マーケティングの鬼と呼ばれる高岡の目にどう映ったのか。そして、その一歩先とは?


工業製品には宿命がある。「ベル・カーブ」と呼ばれる製品の精度誤差だ。統計学で言う正規分布であり中央の平均値に集まる分布で左右対称になる。そのカタチが鐘に似ていることからそう呼ばれる。工業製品の場合、一般には全品同一水準には作れない。必ず生じる誤差が、製品の質をブレさせるのだ。新しく登場したテーラーメイドのドライバーは端的に言えば、その誤差を無くしたと表現できる。

ドライバーは「飛びすぎ」を抑制するために国際的に反発基準のルールが設けられている。その基準を超えた製品が見つかれば、その同型がすべて“回収”となる、命取りのラインだ。ギリギリまで反発の性能を高めると、ベル・カーブにあるように基準を超えるものが出てくる。そのため今まで各メーカーは「超えないラインに近づける」という発想だった。

しかしテーラーメイドは逆の発想で作ってしまった。

テーラーメイドM5/M6
──限界への挑戦ではなく「超越」からの回帰─

上図は簡易的に起こしたベルカーブのグラフだ。テーラーメイドはまず、基準を超えるルール適合外の反発力を持つヘッドを製造した。そこからヘッドの反発力をルール上、最大限に戻すという作業を行う。グラフの右端のエリアに収まるように設定する。ドライバー内にレジン素材を注入し1本1本個々に数値を抑える作業を行うのだ。ベル・カーブが基準値を超えるエリアになったものをその作業ですべての製品を均一に調整する。どのヘッドを手にとっても、調整された基準内で最大限反発力を持つクラブが存在することになる。



高岡が出会う「驚き」

「これは商品のイノベーションに見えるけれど、実は生産ラインのイノベーションでもあるよね。私もメーカーの人間ですから良く分かります。大量生産品にひとつひとつ調整することをたった1、2週間でやることで、価格を跳ね上げさせない。せっかくのテクノロジーも、価格が上がるのでは意味がない」

マーケティングのプロフェッショナルである高岡らしい言葉だ。「キットカット」受験生応援キャンペーンや「ネスカフェ アンバサダー」など、数多くの成功事例を生み出している高岡は、すぐにこの新製品の魅力を分析した。ちなみに高岡は自宅に練習スペースを持ち230〜240ヤードをキャリーで飛ばすほどの腕前だ。

「確かに今回のドライバーは私にとっても“シンキング・アウトオブボックス”だった。造り手側の考え方が一新されたわけですからね。昔から、プロの使うものと一般の人が使うものは違うと言われる業界でしたが、一品一品精度を見てばらつきを無くし最高の反発を手に入れられるということが、つまりはプロと同じものを手に入れられることになる。これは一般の人が諦めていたことなんですよ」

プロゴルファーにメーカーのスタッフがツアーに帯同して常に最高の製品が提供される。厳選された最高性能のクラブを手にできるのはプロゴルファーなど、特別な人たちだけだった。その壁を超えたのだ。まさに最高性能のドライバーが手に入ることで同じ状態と言える。高岡は自身のマーケ論に基づいた発想の「コツ」を続ける。

「諦めているところに答えが転がっているんです。私の主宰するイノベーションスクールでも、ネスレ日本でも、いつも言うのは顧客の問題を調べ、考えなさいということ。そして可能なら〈諦めている〉問題を見つけよとね。諦めている問題は市場調査には出てこない。ゴルフクラブは、製品のばらつきが当たり前の工業製品という諦めの前提があった。テーラーメイドは、そこを無視して上限に揃えるという発想を生んだ。ここは大きい転換ですね」


テーラーメイドM5/M6
──毎年生まれる新しいテクノロジーにテーラーメイドの技術力を見た─

テーラーメイドは数あるゴルフメーカーの中でも突出して多くの新技術を生み出してきている。古くはパーシモン(柿の木)でできたドライバーからメタル(金属)に変えたのも遠い昔のイノベーションだった。昨年は画期的な「ツイストフェース」(打球の左右の曲がりを少なくするためにフェースをねじるという大胆な発想)であり、そして今回はスピードインジェクションというわけだ。



完璧なパーソナライズを期待させる無敵のイノベーションの扉

高岡はもうひとつ踏み込む。マーケの鬼の目に何かが見えたようだ。

「日本は、ものづくりの国。20世紀は特にモノで解決できる時代だったと言えるでしょう。ただ、モノのクオリティは高いけど、上述の通り、お客様が諦めている問題を解決するところにはなかなか至らない。これは海外もそう得意ではないんです。ゴルフはドライバーのヘッド部分だけではないツールとテクノロジーの塊です。テーラーメイドさんがここまでの革新を遂げたのであれば、シャフトも合わせて個人で自宅で、そしてスマホで最適なクラブが選べるというところまで到達すれば、これは大きなイノベーションになりますね」

確かに、製品のみの進化であれば、モノからコトへと言われる現代のビジネスの課題に応えられているとは言えない面もある。

「よくビジネスモデルが大事と言われますよね。例えば、ネスレ日本の場合、Eコマースのサブスクリプションでコーヒーを買っていただくというのは、20世紀では無かったサービス。Eコマースによって買いだめ・買い忘れが無くなった。ベル・カーブのグラフですら消費者が見れる時代に、デジタルテクノロジーで自分のスイングに合わせてシャフトなどをトータルでコーディネートできると、テーラーメイドさんしか持っていないビジネスモデルになるんでしょうね」

この話をインタビューに同席したテーラーメイドのスタッフに聞いてみると、実はアメリカ本国では少しづつ進んでいるという。いや、むしろ日本法人がリーダーシップを取っても良いのかもしれないが、それは僭越な意見というものだろう。今後に期待していきたいところだ。

ビジネスとゴルフの切れない関係

最後に高岡の“ゴルフ観”について聞いてみた。ゴルフはマネジメントが大事でビジネスに通じるものがある、というよく聞く話についてだ。

「14本という限られた道具でいかに攻めるか。限られたリソースでいかに収益を目指すか。これらは同じです。だからビジネスマンに好まれるのかもしれません。私はそもそも競い合うことが好きなので、ふたつの要素からゴルフにはまりました。それでも普段はもっと気楽に楽しんでいますよ」

ネスレ日本ではゴルフを推奨しているそうだ。クリスマスの時期には会社ぐるみでコンペを開催するほどで、若い社員も多いという。若い人がゴルフをしないという話も耳にするが、高岡はそのコンペでは若い社員とプレーするそうだ。

日本のゴルフ界を憂い、セミナーやツアーを開催するなど「私なりにできることをやって後押ししている」という高岡の言葉、そして史上最高の反発係数を持つドライバーを生み出しプレーする醍醐味をさらに進化させたテーラーメイド。なんだかとてもワクワクするのは筆者だけだろうか。

テーラーメイド ゴルフ株式会社 M5/M6ドライバー

連載「テーラーメイド」
── ありえない逆転発想の製品 ──

#1本記事|マーケの鬼を本気にさせた逆発想のモノづくり
#2公開中|強みを持つ起業家と挑戦したテーラーメイドの共通点
#3 公開中|上手い人ほど道具に頼る。セオリーを鵜呑みにしない自分とクラブの関係

Promoted by テーラーメイド text by Forbes JAPAN 坂元耕二 photographs by Setsuko Nishikawa