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2019.03.13

ブロックチェーンで日本をアート大国へ。現代美術家の顔を持つ起業家が文字通り、未来を「描く」

「いまだから言えるけど東大の大学院に入ったのは、どうしても研究したいことがあったから、ではないんですよ。起業をサポートしてくれて、しかもエンジニアがいっぱい集まっているという環境があったから」

そう言って笑う施井泰平は、スタートバーン株式会社の代表取締役であり、「泰平」名義で活動する現代美術家だ。多摩美術大学で油絵を学び、卒業後、インターネット時代のアートをテーマに創作活動を開始した。

そのなかで、「アートの世界はアナログすぎる」「テクノロジーを駆使してインフラを整えなければ、アーティストがアートで生きていけない」と感じるようになった。

ひとりのアーティストとして作品をつくるだけではなく、アーティストが適正な評価を受ける土壌をつくる、という創作活動に火がついたのだ。アート市場に多くの人が参入できる民主化された世界にするために何ができるのか。

施井の自問自答の日々は、“すぐに”終わった。アイデアがすぐに浮かんだのだ。

現代美術家がブロックチェーンで起業するまで

それは二次販売、三次販売、四次販売と作品が売買されるたびに、買値からアーティストに還元していくというもの。システムとしては昨今現れてきているブロックチェーンプロジェクトの性質とよく似ており、結果的に時代を先行したかたちになった。当時、「これはいけるけど社会実装には時間がかかる」と考えた施井は、すぐに特許を取得した。

ただ、個人でそのプラットフォームを完成させるのには無理があった。ひとりでやるためには、あまりに時間も手間もかかる。色んな方法に挑戦するたび何度も失敗した。

創作活動と並行して東京藝術大学で非常勤講師を勤めるなど、フリーランスのエンジニアとして生計を立てていた施井は悩んだ。そしてある時、ふと、その答えを得ることになる。東京大学には大学発ベンチャー支援施設があり、そこに行けば最高峰の起業支援を受けられることを知ったのだ。

「東大の大学院に行けば起業のサポートをしてくれるし、銀行もお金を貸してくれるはず。優秀なエンジニアもきっといるし、自分が思い描くインフラを構築できるはず。そう思い、背水の陣の気持ちで入学を決めた感じです」

こうして、現代美術家であり、ITベンチャー企業の経営者、という異色の肩書きを持つ男が誕生した。


壁面に飾られているのが、現代美術家としての施井の作品

アーティストにとって必要なのは稼げる土壌

アート市場には、面白い特徴がある。それは、セカンダリー市場(いわゆる中古)がもっとも盛り上がるということ。昨今、話題になったバンクシーのシュレッダー絵画騒動を覚えている人も少なくないだろう。まさにあの事件はオークション会場で起きたものだ。

しかも、アートは時間を重ねて価値が上がるケースが多い。アーティストのキャリア形成や所有の来歴、歴史的な評価がその価値を底上げしていくのだ。没後にようやく評価されたゴッホはそのわかりやすい例だろう。

問題はこれだけ盛り上がるのに、アーティストへの還元がまったくないということ。転売のたびに価値が上がっていっても、作品を手放しした後は一銭も身入りがないのである。これでは、若手アーティストは育ちにくいし、市場は活性化しない。

施井がメスを入れたのは、まさにここだ。

ブロックチェーンネットワークを活用し、アーティストの各作品に証明書を発行。作品のタイトルやサイズ、制作年度、作者情報、来歴情報などのデータをブロックチェーン上に記録し、他のアート関連サービスや機関と共有可能にするというものだ。

これにより、アーティストの作品の来歴を追い続けることができ、二次流通の管理もできるようになる。例えば二次販売、三次販売、四次販売とすべてのタイミングで、アーティストに還元することかも可能に。その還元はアーティストの活動資金になり、次のアート作品づくりに繋がるのだ。もちろん、還元金を望まないアーティストは外すことも出来る。

この証明書発行こそが、アート業界全体を救う重要なステップになると施井は考えたのである。
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