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2019.03.13 11:10

ブロックチェーンで日本をアート大国へ。現代美術家の顔を持つ起業家が文字通り、未来を「描く」


全てはアートが育ちやすい環境を構築するため

スタートバーンはブロックチェーンの技術力を活かし、他社とのサービス共同開発、共同ブランド創造、ブロックチェーンネットワークに繋がるASP提供などの形でビジネスを展開しはじめている。これらは、前述の「アート×ブロックチェーンネットワークでの証明書発行によりアート市場を活性化」に繋がる基盤づくりにも一役買っている。

丹青社と共同開発しているプラットフォーム「B-OWND」がその最たる例だ。工芸作家のマネジメントから始まり、作品情報をブロックチェーンに繋げ、国内外に魅力を発信したりするサービスだ。スタートバーンは、主にブロックチェーンを主軸にするIT企業してのシステム開発支援、そしてオンラインでの作品売買の知見共有などを行なっている。

このように、アート×ブロックチェーンをキーワードに事業を展開しているスタートバーン。ここまで“アート”の印象が強いと感じた人も少なくないだろうが、もう一つ、こだわっているポイントがある。それは「公共性のあるプラットフォーム」を作っているということだ。



「スタートバーンは、『アートの民主化』というテーマを掲げているんですけど、要するに間口を広げる、ハードルを下げるということ。最上部のアートは今まで通り難しくていい、食べれる人は食べられているから。そうじゃなくて、ちょっとアートと接したい人が気軽に入れるようにしたいんです。

間口が広がって、そこに様々なアーティストとアートを求める人が集まることによって、市場が活性化して、競り合ってアートのクオリティも上がっていくと思うのです。

いわゆる新鋭の中に突飛なものが出てきて、業界の構図が一気にアップデートされたら面白いですよね?例えば元ユーチューバーのジャスティン・ビーバーが世界的歌手になったみたいに、その辺の高校生が気づいたらトップアーティストになっていたなんていう夢物語が描けるような環境にしたいなと。音楽はできても、アートでできないわけがない」

そのためにも、技術革新に余念がない。関わっているスタッフ全員で「これは本当に上手くいくのだろうか」「上手くいかせるために、他に何かできるのだろうか」と日々、試行錯誤を続けている。

アート×ブロックチェーンネットワークの思想の軸はは「脱中央集権」。つまりスタートバーンは主役でなくていい、あくまで脇役でいいのだ。アート作品と人をつなぐ、ストーリーとストーリーをつなぐ役割を果たせさえすれば。

「僕らは目立たなくていいんです。誰も気づかないけれど、実はスタートバーンが推進したテクノロジーの影響でアート市場を活性化し、気がついたら日本のアートが盛り上がっていた......。そんな状態があれば、それで僕は幸せです」

その先にあるのは、日本とアートの明るい未来。

「20年以内に日本をアート大国にしたいですね」そう言って、施井は瞳を強く輝かせて笑った。

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