Yコンビネータはこれまで、Dropboxやエアビーアンドビーなどの著名企業を送り出してきた。同社は今回のアナウンスと同時に、本社をシリコンバレーのマウンテンビューから、サンフランシスコに移設する計画も明らかにした。
「過去5年間でスタートアップの中心地の移転が進んだ。多くのYコンビネータ出身者らは、サンフランシスコに住み、そこで働いている」と同社は声明で述べた。
オルトマンの管轄下でYコンビネータは勢力を拡大し、当初は年に2回だった育成プログラムに新たなステージを追加してきた。昨年はスタートアップに無料のオンライン講座を提供するStartup Schoolを新設した。また、卒業チームのシリーズA資金調達を支援するプログラムも追加した。さらに、レイトステージの投資に注力するContinuity Fundの参加もとりつけた。
Yコンビネータは4月に、若手起業家と大手企業のリーダーをつなぐイベント「YC 120」を開催予定だ。オルトマンは今年1月のフォーブスの取材に、「YC 120はハードテック領域のスタートアップにフォーカスしたイベントで、未来のイーロン・マスクを生み出すことをゴールとする。人材のネットワーク効果で、彼らのポテンシャルを10倍に高める」と述べていた。
オルトマンの強力なビジョンにより、Yコンビネータは発展を遂げたが、一部からは規模が巨大になり過ぎたとの指摘もあがっていた。かつては10社程度だった育成企業数は、今では数百社にも達している。この状況に対処するため、YコンビネータはスタートアップのピッチイベントDemo Dayを、2つのステージに分ける計画も進めている。
2005年にポール・グレアムが設立したYコンビネータの運営を、2014年に28歳の若さで引き継いだオルトマンは、近年のスタートアップシーンを代表する人物だ。
ピーター・ティールとの交流でも注目
オルトマンは歯に衣着せぬ発言でも知られ、2017年には「ポリティカル・コレクトネスがイノベーションを阻害している」との持論をブログで展開し、メディアの集中砲火を浴びた。
また、オルトマンは2016年の米大統領選挙でドナルド・トランプ支持を打ち出した、ピーター・ティールを擁護していた。ティールは当時、Yコンビネータの臨時パートナーを務めていたが、その1年後にティールとYコンビネータは関係を断っていた。
オルトマンは今後、2015年にイーロン・マスクと設立したOpenAIの活動に専念する。マスクは2018年2月にOpenAIから離脱している。
フォーブスは現在、オルトマンにコメントを求めており、回答が得られ次第この記事をアップデートする。