ビジネス

2019.03.12

エイベックスが構想する新たな「エンタメ経済圏」 業界も国境も越えていく

エイベックス グループ執行役員 CEO直轄本部 本部長 加藤信介




すでに動いているものとして、ストリーミング時代の携帯音楽プレイヤーを開発・販売するアメリカのMighty Audioへの出資と日本国内での独占販売権の獲得、ベルリン発の完全パーソナライズ化されたヒーリング音を自動生成するアプリ「Endel」への出資。

さらにはローカルマーケティングパートナーとして、アプリの流通やプロモーションを実施、バーチャル空間で、新たな音楽体験を可能にするVRプラットフォームを提供するTheWaveVRと先日行われた「Slush Tokyo 2019」のメインステージで、"W&W x Kizuna AI x Wave VR -XR Music Video Special Premier- Supported by Avex Future of Music"を披露するなど、さまざまなアライアンスを推進しています。

海外スタートアップへの出資ならびに協業は、僕らの新規事業創出の文脈にもフィットしますし、何よりも世界中の音楽xテクノロジースタートアップとの協業は刺激的です。

この取り組みを通じて、業界を超え、国境を超えて、音楽のイノベーションを積極的に推進していきたいと思っています。

IPクリエイターを目指すための学びの場も提供

──昨今、盛り上がりを見せているデジタルクリエイターおよびインフルエンサー領域はどのように捉えていますか?

僕らの根本はコンテンツの会社なので『時代に合った人気者』を常に作り続けることがすごく大事だし、どこまでいってもそれが会社の核だと思うんです。そこで言うと、人気者のあり方も大きく変わっている中でネット領域のクリエイターといかにスピード感を持って手を組んでいくかというのは、すごく大事なフェーズにきているんじゃないか、と。

そして、この領域に参入する上では、既存の組織と既存のスタッフでゼロイチを行うって言う自前主義に固執しないで、その領域でノウハウを持っている人や会社を外から迎え入れて、その人にドライバーになってもらうことで、ドライブがかかっていく可能性があるのではないかと考えていました。

なので、新規事業を含めた事業開発と投資担当者という役割からこの領域のポートフォリオ構築を社内のマネジメント会社と連携しながら動いています。

具体的には美容系YouTuberが所属していて、メイク・コスメのコミュニティメディアサービス「MAKEY」の運営も行うMAKEYと、ライブ配信者支援事業、ライヴコマース、VTuber事業も展開するTWHに子会社として仲間入りしてもらいました。

また、YouTuber Academyコースと巨大なインフルエンサーネットワークによる海外プロモーション事業を展開するCool Japan TVとエイベックス・マネジメントで合弁会社「エイベックス&CJTV Influencer」を設立して、インフルエンサーや動画クリエイターをはじめとしたIPクリエイターを目指すための学びの場を提供する「avex & CJTV Influencer Academy」も開講します。

これを軸にして、 この領域の人材と体制をより強化して新しい人気者を作っていくとともに、エイベックス所属アーティストのWeb領域の活動支援=活動フィールドの拡大や、インフルエンサーマーケ含め今後明らかに伸びていくことが予想されている動画/ネット広告市場に対する新規マネタイズにつなげていきたいですね。

──最後に今後の展望を教えてください。

冒頭にお話しした通り、ドラスティックに外部環境が変わる中で、取り組みたい、または取り組むべき領域は逆に本当にたくさんあるなと思っています。

現時点では既存事業の範疇外の新規事業から、新規事業目線での既存事業への価値貢献まで幅広のポートフォリオで取り組んで、IPでも事業でもさまざまな価値貢献を成し遂げて行きたいですね。その中では各社の強みを生かした共創も、どんどん展開していければと思っています。

文=竹中玲央奈 写真=小田駿一

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