シベリア鉄道をプチ体験 生まれ変わった寝台列車に乗ってみた

3等寝台は通路の両側に3段ずつ寝台が並ぶ(最上段は普通使われない)


新しく生まれ変わったシベリア横断鉄道の最新情報を紹介しておこう。

1. タイムテーブルは現地時間を採用

これまでロシアの鉄道では、列車の運行はもとより、切符や駅の発着時間の表示はすべてモスクワ時間で統一されていたが、2018年夏以降、現地時間に改められた。日本人からみると当然のことのようだが、東西で最長1万km、時差もタイムゾーンが11に分かれた国では、やむを得なかったのかもしれない。

2. Eチケットの普及

オケアン号も含め、ロシア鉄道の乗車券購入は90日前から公式予約サイトで購入できる。座席の指定も可能だ。決済にはVISAやMASTERなどのクレジットカートが使える。

3. 寝台車のホットミールサービスとアメニティグッズ

オケアン号の寝台車を利用する際、夜食のホットミールやミネラルウォーター、歯磨きセットなどのアメニティグッズも提供される。列車が動き出すと、すぐに車掌が注文を取りに来る。当初、なんのことかよくわからなかったので、適当に相槌を打っていたら、しばらくすると、ホットミールが届けられた。


スリッパや歯磨きセットなどのアメニティグッズも提供


「オケアン号」にはロシア風クレープのブリヌイなどのミールサービスが付く

4. シャワー室サービス

かつて1週間の鉄道の旅をシャワーなしでモスクワまで過ごした人がいるかもしれないが、いまでは一部の車両では有料でシャワー室を利用できる。ただし、オケアン号で専用のトイレとシャワーが設置されているのは、1等寝台(「リュクス」=ロシア語で「デラックス」)のみだ。

5. 2人用個室のシングル利用割引

ロシアの寝台車は相部屋利用が前提で、寝台ごとのカーテンのような仕切りはない。ひとり、または旅の同行者だけで気兼ねなく利用したい場合、個室全員分の運賃を支払い、全席を買い占める必要があるが、一部の列車では1等寝台の2人用個室を40%割引でシングル利用できる設定がある。


2等寝台は4人部屋(1等寝台は2人部屋)

このように、近年、ロシアの鉄道では乗客のニーズに合わせたさまざまなサービスが提供されるようになっている。ただし日本と異なるのは、運賃システムに変動性が導入されており、航空運賃のように乗車日や列車によって運賃が大きく変わる。寝台車のクラスだけでなく、列車のグレードによっても異なるので、事前によく検討する必要がある。

日本ではもう体験できない食堂車に加え、夜食やアメニティ、シャワー室まで用意されているのが、いまのシベリア横断鉄道である。極東ロシアの旅には、外せないアトラクションといえるのではないだろうか。

連載 : ボーダーツーリストが見た 北東アジアのリアル
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文=中村正人 写真=佐藤憲一

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