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2019.03.11

「作品にコンセプトなんてない」 アーティスト五木田智央が語る自身のスタイル

Tomoo Gokita, "The Great Circus", installation view at the Kawamura Memorial DIC Museum of Art, 2014 Photo: Kenji Takahashi / Courtesy of the Kawamura Memorial DIC Museum of Art and Taka Ishii Gallery

欧米と比較すると、日本のアートシーンはまだ遅れをとっているかもしれない。しかし、日本を飛び出し、海外で活躍をするアーティストも増えてきた。

起業家、コレクターとして活躍するユリ・ユリーカ・ヤスダが、ロンドンで個展を開催中の五木田智央に話を聞いた。


━━まずは、どのようにキャリアをスタートさせたのかお教えください。

私は東京都世田谷区で生まれ育ちました。父は大手広告代理店に務めていて、兄は漫画を描くのが得意でした。私はいつも兄の絵を真似していたのですが、気づけば兄よりも上手になっていましたね。

絵を描くことが本当に好きで、「イラストレーターでもグラフィックデザイナーでも何でもいいから、将来は絵を描く仕事に就けたらいいな」と漠然と考えていました。その後、今はもうない美術系の高校に進学。そこで油絵を始め、ペインティングの魅力に目覚めました。

でもどうやったらギャラリーと繋がりを持てるのか当時の自分にはまったくわからず、だらだらと毎日を過ごしていました。そんなとき、友人からパーティーのフライヤーのデザインを頼まれたことをきっかけに、デザインの仕事の依頼が増えていきました。気付いたら、グラフィックデザイナーになっていたのです。加えてイラストレーションの仕事もしていました。

しかし、当時のグラフィックデザインの仕事はミーティングばかりで、だんだんと面倒臭くなってしまったのです。そこから、一人で仕事をしたいと思うようになりました。

そんな時、とてもラッキーなことに、私の友人がニューヨークでグループ展に誘ってくれました。これが、私の画家としてのキャリアの始まりでした。

━━五木田さんの代表的な白黒のスタイルについて教えてください。

「なぜ白黒なのか?」や「なぜ顔がないのか?」とよく聞かれるのですが、私の作品にはコンセプトなんてないんです。これから先どうなるかも分かりません。しかし、コンセプトなしに描き始めた展覧会の作品群が、完成した後に見ると何か一本の筋が通っていたりするのは面白いですね。展覧会のタイトルを後から決めることもあります。

私はいまペインティング作品に集中していますが、自分のスタイルを変えて、巨大な彫刻作品もつくりたいと思っています。具体的にプロジェクトを進めるのは先の話になると思います。

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取材=Yuri Yureeka Yasuda 構成=フォーブスジャパン編集部

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