3月8日から17日まで10日間、音楽と映画に加えて、「インタラクティブ」と呼ばれるクリエイティブ分野と交差するビジネスやテクノロジーのセッションやカンファレンスが行われる祭典は1987年から始まり(インタラクティブは1994年から)、米国のみならず世界からこの砂漠のオアシス都市に訪れる。今年の登録者は7万5千人以上が見込まれている。
「インタラクティブ」ではブロックチェーン&暗号通貨、ブランド&マーケティング、コーディング&ディベロップメント、デザイン、アントレプレナーシップ&スタートアップ、未来のワークスタイルなど、多岐に渡る分野のプロフェッショナルが集い、最新のトピックを議論する。日本の多くの読者はこれらの分野の最新のトレンドレポートを期待するかもしれない。
しかし、「トレンド」とは一体何なのだろうか――。データが、企業が、一部の専門家が、マーケティング担当者が決めているものなのか。実際、彼らは未来を予測することはできるのか。否。トレンドとは、もっと人間の顔を持ったものである、と主張するのが、マーケティングとトレンドに関するベストセラー「Non Obvious Trend」の著者で、ワシントンジョージタウン大学の人気講座マーケティング&ストーリーテリングを教えるロヒット・バハルガマ(Rohit Bhargava)氏である。
オースティンコンベンションセンターの大会場に立つ「Non Obvious Trend」著者のロヒット・バハルガマ氏
世界銀行、NASA、インテル、リンクトイン、メットライフ、アンダーアーマーなど大手クライアントとのワークショップやコンサルティングに加えて、ニュースや雑誌、本など膨大な量の情報を収集し「好奇心を持って、観察し、気まぐれに(一つのアイデアに固執せず)、熟考して、エレガントに」キュレーションしたトレンドの年次レポート「Non Obvious Trend」は2011年から米国出版されてベストセラーとなり、今年9冊目を上梓した。
SXSW開幕初日、オースティンコンベンションセンターの大会場を沸かせた彼のスピーチでは、2019年のビジネストレンドを彼の創造的視点が加えられたユニークな言葉で表現した7つのトレンドについて語ったが、その中から特に日本の読者が面白いと思うのではないかと考える3つのトレンドを紹介しよう。
会場で「7 Non Obvious Trend」に聞き入る人々。人気を得たバハルガマ氏のスピーチは、期間中アンコール講演が決まった。