ビジネス

2019.03.11

海外で活躍する知られざる日本の企業|Vol.1 #スモールジャイアンツ

イラストレーション=ブラチスラフ・ミレンコビッチ/シナジー・アート

海外に影響を与えているのは大企業だけじゃない。経済産業省の協力を得て本誌編集部が選出した指折りの企業を紹介しよう。


日プラ ──ギネス記録の巨大水槽用アクリルパネル

観る人をまるで海の中にいるかのような気持ちにさせてくれる水族館の巨大水槽。これを実現する大型アクリルパネルを手がけているのが、香川県木田郡三木町に本社を置く日プラだ。

パネルを積み重ねて厚みを出す技術や、接着剤を硬化させる際に強度を増す熱処理の技術、複数のパネルを一枚に接合し水槽に据え付ける施工技術など、高度なアクリル加工技術をもつ。海外での施工時には、必ず自社の職人が現地に赴いて工事を行うことで、品質管理を徹底。これによって顧客から絶大な信頼を得ている。

米国カリフォルニア州のモントレーベイ水族館からの受注を機に、海外に日プラの名は知れ渡り、これまでの納入実績は60以上の国・地域で500件を超える。水族館用アクリルパネルでの世界シェアは7割。2002年11月に開館した沖縄美ら海水族館では、幅22.5m、高さ8.2m、厚さ0.6mの巨大アクリルパネルを実現してギネス記録を打ち立てた。その後も自らの記録を更新している。

ニューテックシンセイ ──地元の木材を使用したブロック玩具

木製の組み立てブロック玩具「もくロック」を製造販売している。小さなブロックを組み合わせて動物や建物などの形を作ることができる玩具で、従来のプラスチック製品にはない自然の風合いや安全性が高く評価され、米国やカナダ、欧州など世界30カ国で使われている。

同社は、もともと玩具メーカーではなく、PCの組み立てや部品加工が主業。「もくロック」は、受託生産ビジネスへの依存から脱却するための新規事業の一環として、2012年頃に開始した。電子機器の製造ラインなどで使用される自動機の設計・製造のノウハウを生かして、オリジナルの切削機を開発。これまで難しかった1/100mm単位での精密な木工加工技術を実現し、木製ブロックの量産を可能にした。

同社のホームである山形県米沢市は広葉樹が豊富だ。そこで「もくロック」は、地場企業と連携し、地元で伐採されたカエデやケヤキなど、家具や建物向けには規格外の未利用材を使用。余剰木材の新たな用途を生み出し、地元産業の発展に貢献している。
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文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN ニッポンが誇る小さな大企業」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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