微妙な隙間を埋めるマツダの世界戦略車、その名はジレンマから生じた

マツダCX-30


CX-30に搭載される予定の2LエンジンはCX-3と同様だけど、出力はCX-5に近づくと思われる。業界でとても期待されている「スカイアクティブX」エンジンの選択もあるけど、パワーはCX-5に極めて近いだろう。

価格も米国風に比較してみると、CX-3の2万1435ドルとCX-5の2万5395ドルの間、2万3000ドルぐらいになるだろうと考えられる。



しかし、ユーザーのハートを掴むのは、「ちょうど良いサイズ」だけでなく、よりセクシーになったデザインだろう。エッジの効いたデザインを離れ、アクセラから引き継いだスタイリングは、いわゆるダブル・モーションからシングル・モーションへと切り替えられた。

正直なところ、辛口な僕の同僚の中には、「なんだ、マツダはまた、最近のお得意の『マツダ・デザイン』に似せたクロスオーバーを出して、またあのソールレッド色か」という人もいる。ある意味では否定はできないけど、同じ赤色でも、マツダの最近のデザインは日本のどのカーメーカーよりバランスが取れており、曲線が非常に綺麗だと僕は思う。



そして、CX-30はもう1つユーザーに好かれるポイントがある。各方面から高い評価を得ている新アクセラのプラットフォームと足回りを採用するということで、ハンドリングがクラストップに浮上すること間違いなしなことだ。

でも、そんな世界戦略車の存在を国際舞台まで隠せたのは不思議でたまらない。ジュネーブ・モーターショーの会場で会ったドイツやイタリアの同僚に「何で誰もこのクルマのことを知らなかったの?」と首を捻りながら聞かれた。しかし、答えられなかった。

日本の有名なスクープ情報誌にもCX-30の詳細や想像イラストが出ていなかったし、そうした情報に強い某英国専門誌もキャッチできていなかった。本当の話、CX-30のデザインやハンドリングは、顧客をショールームに引きつけるだろうけど、たまにはあのソールレッド以外のボディカラーも見て見たい、かな。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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