シャンパーニュを凌駕するフランチャコルタの先鋒|美酒のある風景

祝杯をあげるとき、自分自身の時間を楽しむとき、孤独を噛みしめるとき……

一杯の酒と向き合う空間に身をおくひとときは、明日への活力となる。


フランチャコルタとは次のうち何を指す言葉か。1.イタリアの地名、2.ワインの名称、3.ワインの生産方法、というクイズがある。正解は、1、2、3のすべてというトリッキーな設問だが、これは知られているようでいて、きちんと理解されていないフランチャコルタの盲点ともいえるだろう。

まず地名としてのフランチャコルタとは、ミラノから車で1時間半程度、イタリア・ロンバルディア州中部に位置する200k㎡に及ぶエリアのことだ。
 
そして、この地にブドウ畑やワイナリーを構えた生産者たちが造るスパークリングワインが、ワインの名称としてのフランチャコルタ。古くからブドウは栽培されていたが、1967年にDOC(統制原産地呼称)の認定を受けている。すなわち、フランチャコルタで造られたスパークリングワインだけが、フランチャコルタと名乗ることができるのだ。

最後に、製法。フランチャコルタはシャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコの3種類のブドウだけを使用でき、ブドウはそれぞれ必ず手摘みで収穫すると定められている。タンク内で炭酸ガスを発生させず、瓶内で二次発酵させて造られているのも決まり事のひとつだ。と、ここまで知ると、フランチャコルタとはフランスのシャンパーニュを模したワインなのでは、と考えてしまうのだが……

「アンナマリア・クレメンティのクオリティはシャンパーニュを凌駕しています。日本の人はフランス料理とシャンパーニュを最上と考える人が多いですが、私の料理と一緒に味わったら、それはまさに至高のペアリングとなるでしょう」と語るのは「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のエグゼクティブシェフ、ルカ・ファンティン氏だ。
 
フランチャコルタをリードする生産者であるカ・デル・ボスコ社において、創業者の母の名前を冠したこの「カ・デル・ボスコ フランチャコルタ キュヴェ・アンナマリア・クレメンティ 2008」は、5年8カ月もの長い間をシュール・リー(澱と触れさせる)発酵で熟成させ、魅惑的な香りと複雑な味わいながら、驚異的なフレッシュネスもあわせ持つプレスティージ・フランチャコルタ。

ファンティン氏のクリエイティビティあふれる料理とともに味わえば、いままさにイタリアの食文化の最先端にして最高峰を味わっていると実感できるに違いない。



カ・デル・ボスコ フランチャコルタ キュヴェ・アンナマリア・クレメンティ 2008

品種:シャルドネ55%、ピノ・ビアンコ25%、ピノ・ネーロ20%
度数:12.5%
容量:750ml
価格:1万6000円(参考小売価格)
問い合わせ:フードライナー(Tel. 078-858-2043)

連載:いまおいしい、いま知りたい食のトレンド最前線
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photographs by Yuji Kanno | text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN ニッポンが誇る小さな大企業」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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