理想の新人材「STEAM女子」を輩出 スカイラボ代表・木島里江の原動力

スカイラボ代表・木島里江


──スカイラボのワークショップは、どれくらいの規模で行われているのですか?

全員に目が行き届くよう、20〜30人程度で1クラスとなり、その中でいくつかのグループに分かれています。過去3年間で、全国から女子生徒さんが参加してくれました。東京、横浜、福島、滋賀県、北海道、鹿児島、そして沖縄からはるばる慶應義塾大学メディアデザイン学科で行うプログラムに、女子中高生がわざわざ足を運んでくれました。

私たちがもっとも重要視しているのは、コラボレーションやクリエイティビティの成長。そのためには、失敗を恐れる心をほぐさなければならない。多くの人が失敗を恐れて萎縮してしまいますが、失敗を恐れずにチャレンジすることこそがイノベーションにつながります。

ただ、それを知っていてもすぐに実践できるわけではありません。私たちは、失敗を恐れずに取り組めるようになるための手助けをするべく、失敗を評価し、どんどんチャレンジしていける環境づくりやコミュニケーションを大切にしています。

──子供たちはそんなにすぐ、失敗を恐れずチャレンジできるようになるものなのでしょうか?

最初はなかなか自分の意見を言えなかった子供たちも、次第に活発に意見を交し合えるようになります。

スカイラボはグループごとに英語でプレゼンテーションをしてもらうことで、プログラムを締めくくります。生徒の親御さんたちもクロージングセレモニーにご招待するのですが、皆さん、「うちの子がこんなに堂々と自分で話をできているなんて」と驚かれるんです。

そういった子供たちの姿を目の当たりにすることで、親御さんたちのSTEAM教育への認識も広がっているようですね。

──ワークショップ終了後、子供たちは自らの進路をどのように考えるのでしょうか。

卒業後は、海外でチャレンジしてみたいと考える子が多いです。それだけでなく、国内で興味のある分野やカリキュラムを見つける子もいます。

ワークショップに参加したばかりのころは、「将来自分がやりたいことをうまく考えられない、わからない」といった子が多いのですが、最後には広い視野で意欲的に自分の将来について考えられるようになっていることが多い。そんな姿をみることが、今の私の原動力になっています。


きじま・りえ◎スカイラボ代表。スタンフォード大学教育学部講師。世界銀行中東・北アフリカ局及び東アジア局にて、女子教育、貧困層やマイノリティーのための初等教育から高等教育、教員訓練などの教育政策に力を注ぐ。JICAチュニジア事務所でインターン、ボストンのNGOで教育コンサルタントとして働く。デザイン思考を中心に、スタンフォード・デザインスクールやヌエバ・デザイン機関にて研修。USJLP (米日リーダーシッププログラム) 2015/16 代表団。著者に『世界を変えるSTEAM人材―シリコンバレー「デザイン思考」の核心』(朝日新書)がある。

構成=鈴木 梢 イラスト=Kyle Hilton

タグ:

連載

セルフメイドウーマン

ForbesBrandVoice

人気記事