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世界的な貧富の差は、これまで推定されていたよりもはるかに大きいようだ。

エコノミストたちはごく最近まで、富豪たちがタックスヘイブンに隠し持つ資産の金額について、非常に限られた情報しか入手できなかったため、正確な推定が不可能だった。そこで、カリフォルニア大学バークレー校のエコノミスト、ガブリエル・ザックマン(Gabriel Zucman)は新たな研究を行った。

格差の専門家で、大胆なデータ収集家でもある同氏は、タックスヘイブンに隠されている資産が、世界のGDP(国内総生産)合計の10分の1にも相当することに光を当てつつある。フォーブス「長者番付」を含む多様なデータセットに基づく分析結果だ。

非営利的な民間研究組織、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)によって出版された新たな論文のなかで、ザックマンは以下のように書いている。

「格差の程度ならびに格差の拡大に関して、最近の研究は過小評価している可能性がある。それは、金融のグローバル化によって、世界有数の富豪たちが一体どのくらいの資産を持っているのかを知ることがますます難しくなっているからだ」

「タックスヘイブンとして有名な国々の中央銀行が公開した最近の統計は、世界のGDP合計の10%相当が、各地のタックスヘイブンに置かれていることを示唆している」

ザックマンは、そういった目に見えないお金のすべてを検討することで、衝撃的な事実に接近している。

「世界全体でみると、富はきわめて集中している。世界でもっとも富裕な上位10%が、中国、ヨーロッパ、アメリカを合わせた総資産額のうちの70%以上を保有しているのだ。一方、下位50%が保有しているのは2%に満たない。中間層40%が保有している割合は30%未満だ」と、論文には書かれている。

「この分析に、中南米、アフリカ、ならびに中国以外のアジアを含めれば、富の集中率はさらに高くなるだろう。こうした地域に住む人たちの大半は、富の分配が少ない地域にいるからだ」とザックマンは述べている。

アメリカでは、「狂乱の1920年代(Roaring Twenties)」と呼ばれた活況以来、富の集中が進む一方だったとザックマンは言う。現在、アメリカでもっとも富裕な上位1%は、総家計資産のうちの40%を保有している。まさに桁外れだ。

ある推定によると、「すべての課税単位(tax unit)のうち、もっとも富裕な上位1%(数で言えば、およそ17万単位)は、平均で1760万ドル(約19億6871万円)を所有している」という。これは、課税単位あたりの年末資産額の平均である45万3000ドル(約5067万円)と比較すると、約40倍にあたる。

別の調査を見ると、「長者番付フォーブス400にランクインしている人を除いた、アメリカでもっとも富裕な世帯の上位1%(約12万6000世帯)は、平均で2680万ドル(約29億9782万円)を保有している」。これは、世帯あたり資産額の平均である69万2000ドル(7740万円)と比較すると、約40倍だ。

ザックマンは、アメリカにとっての不名誉な事実をもうひとつ明らかにしている。それは「富の不平等に関する概算が入手可能な国のなかで、不平等の度合いがアメリカと同程度に大きい国は、(ロシアを除けば)ほかにない」ということだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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