ビジネス

2019.03.06

「これからは下の世代に恩送りをしたい」──創業から4年弱、イグジットを果たした女性起業家は次なる道へ

サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋(左)と、Coupe代表取締役の竹村恵美(右)

エイベックスが美容系YouTuber事業​やメイク・コスメのコミュニティメディアを運営する MAKEY(メイキー)を買収するなど、インフルエンサー関連企業のM&Aの話題が目立った3月4日、印象的なニュースがひとつあった。

インフルエンサーのマネジメントサービス「COUPE MANAGEMENT」を運営する、Coupe(クープ)が「藤田ファンド」から資金調達を実施。サイバーエージェントが同社の株式を取得したことで、事実上のサイバーエージェントグループ入りを果たしたことだ。

代表取締役の竹村恵美は、学生時代の2013年にサロンモデルマッチングサービス「Coupe」を立ち上げた起業家。

21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブ「SHElikes(シーライクス)」を手がけるSHEの中山紗彩、女性向けのエンパワーメントメディア「BLAST(ブラスト)」を手がけるBLASTの石井リナなど、日本でも若手の女性起業家が増え始めてきた。しかし、IPO(株式公開)やM&A(合併と買収)によるイグジットのニュースは少ない。

Coupeのサイバーエジェントグループ入りは女性起業家の成功例、ひいてはロールモデルを生み出す意味においてもスタートアップ界隈ではエポックメイキングな出来事と言えるのではないだろうか。グループ入りしたが、竹村は今後もCoupeを率いていくという。

この節目というべきタイミングに、彼女は何を考えているのか。竹村に、今回の決定の理由と、今後の展望を聞いた。

サロンモデルのネットワークを生かした、動画インフルエンサーマネジメント

2013年11月、当時女子大生だった竹村がサロンモデルと美容師をマッチングするサービス「Coupe」リリースしたことから、Coupeはスタートした。サービス開始から約1年後、2014年12月に法人登記を行い、会社が設立された。

Coupeは街中やSNSで行う美容師のサロンモデル探しを、オンラインでも可能にしたもの。美容師は、登録する710名のサロンモデルから簡単にイメージに合致したモデルを見つけることができる。すでに8000名以上の美容師が使用し、累積マッチング数は15000件を超えるという。

そして、サロンモデルのネットワークをもとに2018年に新規事業としてリリースしたのが、インフルエンサーやライバーのマネジメント事業「COUPE MANAGEMENT」だ。

『ar』など多くのファッション誌で活躍する福地夏未などが所属。特に最近は、ライブ配信プラットフォームやTikTokなど動画に強いインフルエンサーが多数輩出されている。

現在、多いときで月に700人近いモデル応募から、40倍に及ぶ倍率の中から登録モデルを厳選している。「LINE LIVE」や「17 Live」などのライブ配信アプリ内でのイベントで上位入賞を獲得することも増えており、今後は法人企業へのライバーのキャスティングも進めていくという。
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文=野口直希 写真提供=Coupe

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