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2019.03.30 11:00

危機感とパッションがパナソニックを変える。新規事業の発射台「ゲームチェンジャー・カタパルト」とは

「Slush Tokyo」でアイデアを提案した社員たちと、出展を主導したゲームチェンジャー・カタパルトの事務局メンバー


大企業とスタートアップの境目が薄れてきている

━創業100年という伝統を持つ世界的な大企業の中でイノベーションを生み出していくというのは、かなり大変な仕事ではないでしょうか。

実は会社はそんなに関係ない。会社ができるのは、活躍できるステージを用意すること。「世の中のお困りごとを助けたい」「新しい生活体験を世に広めたい」とチャレンジしたいというウィルを持った人がいるというのが大事なんです。

大企業だからできる、できないというのではなく、大企業のサラリーマンでも「新しいことをやりたい」という思いがあれば新事業は生み出せるし、外部と協業もできる。そういう世の中にしていきたいと思っています。

リーンスタートアップのような方式で、予算のないなか事業を世の中に出して、いろんな活動にトライしながら、どういう風にしていけば新規事業に結びつくのかを3年間やってきました。 正解はまだわからない。摸索中です。

好きなことをやらせてもらうのだから、大変なのは当たり前

日々新しいことの連続で、「コア」か「エッジ」かというと僕たちは「エッジ」なんです。考え方の境目、既存と新規の境目、大企業とスタートアップの境目、社内と社外との境目。実際のところ、苦労の連続です。

ただ、ゲームチェンジャー・カタパルトでは新規事業提案者に、「前向きに、積極的にやろう」と話しています。自分の好きなことをやらせてもらうからには、大変なのは当たり前ですから。

「新規事業に挑戦できるから」パナソニックを志す社員も

━ゲームチェンジャー・カタパルトで新規事業の開発に取り組む社員は若い世代が多いのですか?

発足3年目ですので、われわれのセクションがあることを知っていて入社してくる社員──彼らのことをわれわれは「カタパルト・ネイティブ」と呼んでいます──がいて、プロジェクトにも加わってくれています。でも全体としてみると、若手と言われる世代だけではなく、30代も40代も、50代も参加してくれていますね。

「新規事業を生み出したい」とか、「社会課題を解決したい」という思いは、若者にかかわらず、さまざまな世代が感じていることです。たとえば、介護など親の世代の問題については、20代・30代よりもわれわれ40代・50代の方がピンときていて、彼らが提案することの方が多いんです。

チームの構成も、プロジェクトごとにいろいろです。最初はひとりで始めて同期が加わっていって、それでもわからないことがあるから、と技術系の先輩に参加してもらって……といったケースもあります。そういった輪が社外にも広がって、専門家や大学の先生に協力していただくこともあります。世代関係なく、社内・社外関係なく人がどんどんつながっていくのが、すごく面白いです。

ミッション、イシュー、モチベーションに基づいた行動、企業の力に

━仕事のやり方、企業のあり方からして変わってきていますね。

明らかに言えることは、サラリーマンの働き方も変わりつつあるということですね。従業員のモチベーション、パッションをいかに企業成長の力に結びつけるのかが、まずとても大事です。

そしてそれを企業価値へと高めていこうとするときには、社会課題を解決すること、社外の投資家とかスタートアップのユニコーン企業との連携も含めて、幅広く共感を得られることも重要です。

大企業の中にいても、スタートアップ企業のように自らのパッションで起こしたい事業を起こせる仕組みをつくろうとしているのには、理由があります。「ミッション、イシュー、モチベーションにもとづいて自ら行動することがあたりまえ」。そんな世の中になっていくと考えているからです。

そもそも何のために生きているのか、というところから根本的に考えるんです。大企業や上司からミッションを与えられ、こなしていく。それもいいんですが、思い立って社会課題解決にチャレンジする人が求められているし、実際にそういう社員が多い会社ほど、成長するということです。 社会の課題と会社の課題と個人の課題が重なったときに、社会を変えるような動きが生み出せるのではと思うんですよね。


「Slush Tokyo」出展を主導したゲームチェンジャー・カタパルトの深田氏(左)、濱本氏(中)、プランニングリードの杉山覚氏

“会社は世の中のためにあるもの”

「オープン・イノベーション」という言葉が流行語で終わらないように、大きく変わろうとしている世の中に、大企業もスタートアップも積極的にコミットして、新しい社会をつくっていく原動力になっていかないと。この思いは、”会社は世の中のためにあるもの”という創業者・松下幸之助の考え方にまでつながると思っています。

Promoted by Game Changer Catapult 文=岡田浩之、林亜季 写真=荒川潤

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