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記録破りのピンクダイヤモンド

またDカラー以外に、色のあるダイヤモンドの白熱した現状も特筆すべき。この秋ニュースになったのは、ジュネーブでのクリスティーズのオークションに登場した「ピンク・レガシー」という名のダイヤモンドだ。予想された落札価格は3000万〜5000万スイスフラン。オークションを進行したのは、クリスティーズ宝飾部門国際責任者、ラウール・カダキア。

会場では数人が激しく競り合った後、最前列に座った紳士の入札でカダキアのハンマーが鳴り響いた。落札価格は5037万5000スイスフラン(約57億2000万円、手数料込)。

落札したのはニューヨークのジュエラー、ハリー・ウィンストン。CEOのナイラ・ハイエックは「この品質と価値を持つ宝石は、生涯に一度目にできるかどうかのもので、現代における最高峰のダイヤモンドと称されるに値する」と語る。


色鮮やかな「ウィンストン・ピンク・レガシー」。ピンクダイヤモンドの1カラットあたりの価格(約3億円)はこれまでのオークション記録を破った。(c)Harry Winston

ピンク・レガシーの品質は、18.96カラット、ファンシービビッドピンク、タイプⅡa。アメリカ宝石学会の専門家によれば、ピンクダイヤモンドのうち0.2カラットを超えるものは10%に満たず、5カラットを超えるファンシービビッドピンクは非常に希だとのこと。カダキアは、ピンク・レガシーは「世界で最も卓越したダイヤモンドの1つ」と話す。

目の肥えた人々のターゲットは

こうした希少極まりない宝石は、経済のアップダウンにかかわりなく、ピークアウトせずに高止まりを続けている。「ファンシービビッド」「ファンシーインテンス」と冠される彩度の高いカラーダイヤモンドや、タイプⅡaのダイヤモンドは、鑑識眼を備えた人々にとっては垂涎の的なのだ。

ちなみにハリー・ウィンストンは、手に入れた「ピンク・レガシー」を「ウィンストン・ピンク・レガシー」と命名し直した。多くの場合、大きな宝石や歴史的な宝石の所有者は、このようなシンボリックな名前をその石につける。だから、もしとびきり美しい宝石を手に入れたなら、それに自分や家族の名を与えたっていいのだ。それはコレクタブルなとびきりの宝石を所有する喜びの1つでもあるのだから。

text & edit by Keiko Homma

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