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言わずもがなですが、もはや半導体はメインプレイヤーではないので、“シリコン”ではないわけです。また、サンフランシスコ近辺は谷でもないですし(笑)、「シリコンバレー」という言葉が、英語での生活実感にそぐわないというのもあるでしょうね。

他方、当時のシリコンバレーにあたる場所は今「サウスベイ(South Bay)」と呼ばれます。サンフランシスコ湾の南に広がる地域という意味です。会話では短縮して「サウス」に行く、という風に使います。このサウスベイが10年、20年前の人が指したシリコンバレーと思っていただくのがいいかと思います。

まとめると、昔でいう「シリコンバレー」である「サウスベイ」と、そこに加えて、もっと北に位置するサンフランシスコ、そして湾の東側のバークレー周辺まで入れたこの広域エリア全体を「サンフランシスコ・ベイエリア」とまとめて呼ぶことが現在では最も一般的です。それだけハイテクの栄えるエリアが拡大したとも言えますね。

━━誤解されたままの「シリコンバレー」が多用されることで、弊害が起こることもあるのではないでしょうか。

そうですね。例えば日本から学生や議員さんが来たりします。そのツアーのアレンジをしている人が昔の「シリコンバレー」のイメージしかなくて、サンノゼに宿を取り、そのエリアの企業だけを見て終わる例を複数見てきました。また、昔のシリコンバレーで成功した人が若い人をサンノゼに駐在させることもあるんです。こういうケースを見るたびに、もったいないなと思います。

日本の大企業で、昔シリコンバレーで成功体験があるおっちゃんが「俺はサンノゼに住んでこんなことやって、ウォルマートにこれだけ売った」と言って、その場所にオフィスを作れと言ってしまうと悲劇ですね(笑)。

そもそも定義も曖昧で、今となっては実態を表してない“シリコン”バレーという言葉は、そろそろ日本でも使う頻度を減らしていった方がいいのではないかと思っています。

━━場所からして、すでに10年遅れだと。

昔活気のあった場所に今から行っても、新しいスタートアップもイキのいい人材ももはや少ない。一般に若い人を赴任させるなら、サンフランシスコのコワーキングスペースに送った方がずっと刺激が多くていいんじゃないでしょうか。

こういった乖離が目立つようになってきたので、講演などでは、私はあえて、今で言うサウスベイを「旧シリコンバレー」と呼び、現在の拡大したエリア全体を「広域のサンフランシスコ・ベイエリア」と説明したりもします。

現地の人が「旧シリコンバレー」と呼んでいるわけではなく、あくまでこの10年の変化、つまりエリアの拡大ともに中心地が移動したことをわかってもらうために、わざわざ「旧」をつけて強調して呼んでいます。

例えば、学生が5日間くるのなら、その人の興味にもよりますが、サンフランシスコ近辺に3日、サウスベイに2日ぐらいがいいバランスでしょうか。また、多くの人が意外と知らないのがこのエリアの距離感。サンフランシスコとサンノゼは、車で1時間半ほど離れた距離にあります。これは、東京駅から小田原までくらい離れている。けっこう広いんですよ。

構成=守屋美佳

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