同社の2段式ロケットの2段目の公開イベントは、スコットランドのインヴァーネス近郊で2月7日に行われ、多くの業界関係者が参加した。
Orbexのロケットは燃料に二酸化炭素排出量の少ないバイオプロパンを用いており、1段目は再利用する計画で、環境に優しい点を同社CEOのChris Larmourはアピールしている。
同社はイギリスのロケット分野の有力企業の1社にあげられ、英国政府がスコットランド北部沿岸のサザーランドに建設予定のロケット発射施設から打ち上げを計画中だ。
Primeは全長約17メートルの小型ロケットで、小型人工衛星を打ち上げたい企業らに、新たな選択肢を与えることになる。
今回の発表会は、インヴァーネス近郊のフォレスにあるOrbex新本社で行われた。新本社には現在、フルタイムの従業員が3人しかいないが、年末までには30人に増やすという。
Primeのエンジンは、3Dプリンターで製造されたロケットエンジンとしては、世界最大だ。同社はパーツやエンジンの製造をデンマークとドイツで行っている。組み立てはフォレスで行い、スコットランドの曲がりくねった道路を発射施設までトラックで輸送する。
今回披露された重さ約350キロの2段目は、プロトタイプであるため、これ自体が打ち上げられるわけではない。しかし、カーボンファイバー製のタンクや3Dプリンターで作ったエンジンなどのパーツは、ほぼ完成形に近いという。
Orbexはまだ1段目を完成させていないが、ロケットの頭脳となる2段目を先に完成させる方針だ。
「Primeロケットは2段目に搭載されたコンピューターによって制御されている。だから2段目を先に完成させることは理にかなっている」とLarmourは説明した。
サザーランドの発射施設の建設計画は進行中だが、現地では自然破壊を懸念する反発の声も上がっている。それでも、英国政府はプロジェクトの実現に自信を深めており、既に320万ドル(約3億5500万円)を投じている。
サザーランドの発射施設からは、英国のSkyroraや米国のロケットラボなどの企業も、打ち上げを予定している。