リアル店舗運営では「失敗」も
現在、カラー・バーはカリフォルニア州とニューヨーク市に6店舗ある。エレットは2020年までに南部や東海岸にも進出し、40店以上をオープンする予定だ。ECから始め実店舗を増やしていくスタートアップには、眼鏡の「ワービー・パーカー」やメンズウェアの「ボノボス」などの輝かしい前例があるが、マディソン・リードの場合、実店舗は最初から順調だったわけではない。
「失敗例から学んでこそ成功は可能になる。1号店を(マンハッタンの)フラティロンにオープンする際、よくある平凡なサロンの作りにしてしまった」とエレットは振り返る。その後、エレットらは顧客の声に耳を傾けながら、内装やレイアウトを改善していった。
最も思い切った変更の一つは、顧客の席の前の鏡を撤去したことだ。施術中、頭にアルミホイルを巻かれた自分の姿をずっと見ていたくない、最後に仕上がりを見るのが楽しみだから途中経過は見たくないという意見が寄せられたことがきっかけだった。
「創業者はビジョンを持つだけでなく、そのビジョンを常にユーザーの需要とぴったりシンクロさせなければならない。高級サロンをただ真似すればいいというものではない」とエレットは話す。
新たな資金を得たマディソン・リードは、今後も顧客一人ひとりの髪色や好みを記録するシステムや、より多様な色のヘアカラー剤の開発など、顧客のニーズに寄り添ったサービスに注力する。