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2019.03.07

顧客との「共創関係」を重視 レザーブランド objcts.ioが目指す時代に適したものづくり

写真提供 : objcts.io

土屋鞄製造所で商品製作やサイト・SNS運営などに携わったメンバーが中心となって立ち上げたレザーブランド「objcts.io」が話題だ。昨年末頃からIT・ファッション業界に関わる人々の間でファンが急増しているブランドで、誰もがMacを片手に仕事をしているような今の時代に最適な“イノベーターのための上質なプロダクト”を作っている。

イノベーターのための製品を生み出すラボのようなアトリエ
 

創業者兼代表取締役 沼田雄二朗氏

日本橋のメインストリートから少し外れた、築60年以上のビルをリノベーションした建物。ここが彼らの拠点だ。“アーティストが住み着いたビル”をテーマに、実際にアーティスト・レジデンスとしても利用されている場所で、レトロな階段を登った3階に「objcts.io」という小さな看板がある。

ここは、予約をすれば誰でも商品を見るために訪れることができるアトリエで、真っ白な空間に制作過程のプロダクトや最新のガジェット・家電が並ぶ、まるでラボのような空間だ。

アトリエでは創業者のZOKEI代表取締役 沼田雄二朗と製品開発責任者 角森智至、ディレクター 山中学の3人が迎えてくれた。「objcts.io」には現在6人ほどのメンバーが関わっているというが、沼田は土屋鞄製造所でマーケティング・コミュニケーションに従事、角森は職人として土屋鞄製造所に新卒入社し、生産管理に携わっていた。山中は沼田の下でシステム開発のディレクターを務めていたという。

沼田は土屋鞄製造所でD2Cブランドの動向を調査するため、アメリカに1年住んだことがある。そこで見た最新のアパレル事情と、土屋鞄製造所でのSNS運用で感じた顧客からダイレクトに反応をもらえる喜びから「レザーを使ってデジタルドリブンの新しいブランドを作りたい」と考えた。

その後、15回ものサンプル製作を経て、2017年末にようやくバックパックが完成。試験販売しながら2018年11月にブランドを正式スタートすることになった。

「レザーアイテムは特別なプレゼントにされたり、小学生の間はずっとランドセルを使ったり、人生においてもすごく重要な素材だと感じていました。使い込む楽しさや、言葉では表現できない情緒的な価値があるんですよね。僕はファッションが好きですが、特にバッグはデザイン性だけではなく機能性が重要になる特殊なアイテム。僕自身ガジェットやテクノロジーが好きだったので、そういったアイテムに合う機能的かつ上質なバッグがないなと感じていたんです」と、沼田は丁寧かつ真剣な眼差しで説明をしてくれた。
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文=角田貴広 写真=小田駿一

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