一度選出されれば、問題はセルフィーではなくリーダーシップに移る。SNCラバランとウィルソンレイボールドをめぐるこの侮辱的行為は、トルドーが倫理規範を無視しているだけでなく、法の支配を軽視していることを示している。
トルドーは1月7日、ウィルソンレイボールドを法相兼司法長官の職から解任し、退役軍人相に降格した。あからさまな権力誇示だ。
SNCラバランの件に関する協力拒否に不満を募らせたとみられるトルドー首相は、ウィルソンレイボールドを解任するという短気で自分勝手なリーダーシップ行動を示した。こうすることで、どちらの立場が上なのかを示せると思ったのだろう。
ウィルソンレイボールドは、状況が自分のコントロールの及ぶ範囲を急速に超え始めていることを察知し、自分の倫理観も疑われることになるだろうと考え、2月12日に退役軍人相を辞任した。
カナダでは今秋、総選挙が予定されている。現在起きている出来事は、トルドーの倫理観やリーダーシップ、モラルに疑問を投げ掛けるだけでなく、「セルフィー首相」は自身のイメージばかり大切にして国のことを気にかけていないという野党の批判に油を注ぐことになる。
国の法律や倫理よりも自分自身や再選の可能性を優先することは、トルドー政権の終わりをもたらしかねない。
トルドーは、首相としての最後のセルフィーを撮ってしまったのかもしれない。