最近では、プログラマーに代わり、専門的知識を持たない人々が、高度なコーディングを必要としないプラットフォームを使って、アプリの開発を行っている。また、データサイエンティストが居なくても、パワフルな分析ツールを使って業績や市場トレンドの予測が可能になった。
IT業界でこうしたトレンドが拡大する中、BI(ビジネスインテリジェンス)に特化したデータの視覚化ツールを提供する「タブローソフトウェア(Tableau Software)」は、新機能の「Ask Data」をリリースした。
この機能は、自然言語処理によってユーザーが通常の話し言葉で必要なデータを要求すると、タブローがすぐにそれを可視化してくれるものだ。
タブローによると、Ask Dataはプログラミング言語が使えないユーザーでも簡単にデータから知見を導き出し、共有することを可能にするという。同社は既にドラッグ・アンド・ドロップ機能を実装するなどの、テクノロジーの民主化を推進している。
タブローのチーフ・プロダクト・オフィサーのFrancois Ajenstatによると、Ask Dataの開発では、ユーザーが自然な思考で必要なデータを要求できるよう、音声認識技術に重点を置いたという。
「ユーザーが、今月の私の売上はいくら? といった質問を入力するとタブローがデータを可視化してくれる。プログラミングを理解している必要はない。Ask Dataを使えば誰でもデータと会話することができる。Ask Dataは、キーワードではなくユーザーの意図を理解するよう、洗練されたアルゴリズムを実装している」と同社は声明の中で述べている。
Ask Dataは、アルゴリズムを使って自動的にデータソースのプロファイリングとインデックスを行っており、例えばユーザーが「米国の家具」と入力した場合、プロダクトのカテゴリは「家具」、国は「米国」に設定される。
データベースやリアルタイムのデータフローと会話をできることは、企業にとって良いことばかりなのだろうか? 多くの場合、答えはイエスだろう。しかし、AIも完璧ではない。
「誰でもデータにアクセスできるようになることは、セキュリティ上のリスクになり得る。ユーザーによっては、さらなる分析が必要であることを理解せず、拙速に意思決定をしてしまうかもしれない。」と英国のオンライン住宅ローンブローカーのMojo MortgagesのAndrew Gorryは話した。
仮にプログラムがさらに洗練され、AIにトラブルを回避するセーフガードが導入されたとしても、システムを運用する人間の側にリスクが残る。それでも、少なくとも現段階ではAIを用いた日常言語の理解はメリットの方が大きいといえるだろう。