ビジネス

2019.03.11 08:00

日本人夫婦がバリ島から発信する「サステナブル経営」へのメッセージ

一般社団法人Earth Company代表理事の濱川明日香さん(右)とマネージング・ディレクターの濱川知宏(左)夫妻


── インパクトバリと並んで社会起業家の支援を行う、インパクトヒーロー事業とはどんなものでしょうか。
advertisement

知宏 : インパクトヒーロー事業は、最前線で活躍する社会起業家を支援するソーシャル・アクセラレーター事業です。世界中に同様の支援事業はあまたあり、最近は日本でも増えてきていますが、そのなかで、アースカンパニーでは「数より質」、「幅より深さ」を重視しています。そこがユニークなところだと思います。

未来を切り拓く力を持つ唯一無二のチェンジメーカーを年間1人だけ選出し、その後3年間は「インパクトヒーロー」として、かなり手厚い支援を提供しています。


アースカンパニーは、インパクトヒーローの「伴走者」として、同じ視座に立って支援を提供する。
 
インパクトヒーローが最も必要としているのは「寄り添った支援」であると考えています。彼らのいちばんの味方となり、相談相手になる。上下関係なく肩を並べて事業について考え、共にアクションを取り続ける。いわゆる伴走支援です。
advertisement

明日香 : 私たちは、途上国の未来はその国の人たちが創るべきだと考えています。そして、どの国にもインパクトヒーローのように桁外れの変革力を持つ人はいます。コミュニティにとっての希望の星。そんな人が育てば、自国の課題解決に大きなインパクトをもたらすことは十分可能だと考えています。

── インパクトヒーローに選ばれた人たちには、どのような支援を提供しているのでしょうか。

知宏 : インパクトヒーローを選ぶとき、まず初めに3年間にわたる資金の支援の枠組みを定義しますが、収益事業の立案も手伝って欲しいとの声が多く挙がります。非営利組織であっても寄付だけで運営できるケースはかなり稀なので、団体の代表にとって資金繰りは切実な問題なのです。

もちろん資金面のサポートだけでなく、支援ネットワーク拡大に向けた機会創出やNGO経営コンサルティングなど、彼らの活動に対して長期的に効果を波及し続けることを意識した支援をしています。

前述のベラさんをはじめ、24時間365日無償医療を提供する助産師ロビンさん、気候変動活動家であり詩人のキャシーさん、そしてストリートチルドレンの救済に力を尽くすジョンさんに加え、先日、5人目のインパクトヒーローも決定しました。

2019年秋にはアースカンパニー5周年に合わせ、その5人を日本に招き、彼らの取り組む課題や生き様、ライフワークを彼ら自身の言葉で伝えるための企画も行う予定です。

── アースカンパニーでは、非営利組織のビジネス化を支援すると同時に、営利組織のソーシャル化も促すインパクトコンサルティング事業も手がけていますね。

明日香 : 現状は営利組織と非営利組織の間に明確なラインがありますが、近い将来その境界はどんどん希薄なものとなり、やがては無くなると思います。営利組織はソーシャル化し、犠牲を出して成長するシステムからは脱却しなければなりません。
次ページ > 思いをアクションに繋げる

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり 取材協力=Nagatacho GRID

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事