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I am Distinguished Professor of Economics Emeritus at Ohio University.

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米国の高等教育は最近、入学者の減少や、財政の不安定化(ムーディーズやフィッチによる信用度格下げがこれを証明している)、評判の低下といった問題に直面してきた。これが民間企業なら、CEOは職を失ったり減給されたりする。しかし、大学の学長に起きたことは、報酬の大幅な増加だ。

学長の報酬が100万ドル(約1億1000万円)を超える米大学は、2008年にはわずか9校だったが、8年後の2016年には61校に増えた。大学学長の報酬を見てみると、幾つかの奇妙な点が浮かび上がる。

例えば、2016年時点のハーバード大と、同大から数km離れたシモンズ大とを比較してみよう。ハーバードの方が遥かに大規模な大学であり、シモンズにはない巨額の寄付金を利用可能だ。それに、シモンズ大の評判は、全米一有名で栄誉ある大学ともされるハーバードと比べると、かなり地味なものだ。フォーブスの2018年米大学ランキングでは、ハーバード大が1位で、シモンズ大は381位だった。

ところが、専門誌クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーションが毎年実施している私立大学学長の報酬調査によると、シモンズ大の2016年学長報酬は165万7000ドル(約1億8500万円)で、ハーバード大の1.5倍以上だった。

実は、大学の評判は、学長の報酬とはほぼ無関係だ。アイビーリーグにマサチューセッツ工科大学(MIT)とスタンフォードを加えた名門私立大学10校の中で、学長の報酬トップ25に入ったのはコロンビアとペンシルベニアのわずか2校。ハーバード大は48位だった。

ハイポイント大のニド・クベイン学長は、230万ドル(約2億5700万円)余りを受け取り6位に入った。だが、同大の大学としての評判はそこそこといったところだ(フォーブスのランキングで474位)。米教育省の「カレッジスコアカード」データベースによると、卒業生の平均初任給は年間3万9000ドル(約436万円)とそう高くない。また6年以内の卒業率は65%とごく平均的で、在籍する学生の3分の1以上は学位を取得していない計算になる。

ではハイポイント大の学長はなぜ、より規模が大きく有名なハーバード大の学長の2倍以上の報酬を得ているのだろうか? 確かにクベイン学長は非常に有能な人物とみられ、その長期にわたる在職期間中にハイポイント大は大きく拡大した。同大の理事たちは、クベインに高い報酬を支払わなければ、より高収入の企業職に転職されてしまうと主張してきた。

編集=遠藤宗生

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