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フリーランスインタビューアー/ライター




必要なのは正確性ではなく、ミッションに対する「腹落ち」

麻野:出島や評価制度以外に、入山先生が考えているイノベーションを起こすための方法はありますか?

入山:僕は最近「ゲリラ人事」というのを提唱しています(笑)。上が動かないのであれば、人事が勝手に自分の熱量で動いてしまう、と。広報など別の職種ではそういう面白いことをしている人たちが多少いる印象ですが、人事はまだ少ないですね。

あとはビジョン・ミッションをどれだけ現場の社員に腹落ちさせられるかが重要ですね。どれだけ会社が向いている方向性を社員に納得してもらえるか。これが現場での主体的な動きとつながると思っています。

最近、この点で急速に改革を進めているのはトヨタです。とにかく社内で危機意識を煽り「モビリティ社会をつくる」というミッションを共有し、現場に浸透させていく。それを何度も繰り返しやっているわけです。

麻野:かつては変化の少ない時代だったから、社内では「HOW」の部分を語ることが大切だったけど、今はむしろ「WHY」の方を納得してもらうことが大切になってきている。

入山:そうです。社員が「我々はなんのために存在しているのか?」を理解していることが大事。ロート製薬などは、社長が自分のフィロソフィーを語り、それを現場の社員が自分ごとに落とし込む機会が定期的にあるみたいです。明確なビジョンがない大企業も多いですが、熱量のある中堅企業も多くあるので、そういった企業が伸びていくように感じますね。

麻野:アメリカではフェイスブックやグーグルはビジョンやフィロソフィーを大切にしている企業として有名です。たとえばグーグルはいまでも全社員と方針を共有する時間を、週に1回とっている。日本の企業は日経新聞を読んで初めて会社の方針を知ることも多いでしょうし、それでは社内での主体的な行動には結びつかないでしょうね。しかし、組織改善クラウドの「モチベーションクラウド」のデータでは、「階層間の意思疎通」という項目は最もスコアが低い項目です。日本企業の経営は現場にミッションやビジョンを伝える機会を持てていないと言わざるを得ません。



入山:今後、ミッションやビジョンが重視されるようになると、「会社はミッションやビジョンを実現する場である」という考え方になってくる。個人と企業におけるビジョン・ミッションのマッチングが起こり、プロジェクトベースで実現されていく。いま世界は半分そうなりかけているし、その傾向はもっと加速することは予測できます。

だからこそ、企業はビジョンやミッションを重視し、それを現場に浸透させていくことが必要不可欠となってきます。社員が納得していない状態で組織を変えようとしても、きっとそれは難しいでしょうね。

文=園田奈々、写真=若原瑞昌

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