オールドネイビーを切り離すことは、それほど驚くべきことではない。過去3年間、同ブランドは売上高でも店舗数でも、GAPを上回る成長を続けており、それは今後も継続すると見込まれている。
推計によれば、オールドネイビーはギャップの利益の75%(またはそれ以上)に貢献しているとみられる。また、オールドネイビーと名称が明らかにされていない新会社(GAP、バナナ・リバプリックその他からなる)の年間売上高は、それぞれ80億ドル(約8930億円)以上、約90億ドルになるとみられている。
残念ながら、ギャップは10年以上にわたって苦戦してきた。その間のオールドネイビーの成功とは全く対照的だ。GAPとバナナ・リパブリックの店舗は来店客数が減少し、オールドネイビーや競合他社の店舗との共食いも続いてきた。そうした傾向が、不採算店舗の増加とそれらの閉店につながってきたのだ。
ギャップのアート・ペック最高経営責任者(CEO)によれば、GAPのおよそ230店舗は「緊急に」閉鎖する必要があるという。それらの店舗がGAPブランドと同社のその他ブランドの「将来に向けてのビジョンに適していない」ためだ。GAPはこれまでにも、数百カ所に上る店舗を閉鎖している。
事業の分離に伴い、期待が高まるのはアスレチックウエア・ブランドのルルレモンと競合する「Athleta(アスレタ)」だ。現在150店舗を展開する同ブランドの今後について、ギャップは野心的な計画を維持している。
分離は「最善の策」
ギャップは2020年までに分社化を完了する計画だ。オールドネイビーとGAPのいずれにおいても、経営トップの変更は予定していない。
全体的に見て、分離はオールドネイビーにとって最善の策の一つだと考えられる。ギャップを支援する必要がなくなり、利益を全て自らの事業につぎ込むことができるようになるためだ。
さらに、分離は投資家にも安心感をもたらすはずだ。オールドネイビーの事業に関する透明性が高まることで、市場は同社と新会社の双方をより正確に評価できるようになるだろう。
GAPがどうなるかを含め、ギャップの今後ついては多くの未解決の問題が残されている。適切な規模となるGAPチェーン、バナナ・リパブリックの再生、そして大幅な成長が見込めるアスレタによって、ギャップの新たなポートフォリオがオールドネイビーと同様、存続可能な事業となることを期待したい。