ビジネス

2019.03.03

四角いスティックのりで「角までしっかり」 50年目の革命的イノベーション

スティックのりを使う時、紙を下に敷いて使う経験は誰にでもあるのではないだろうか。

角までしっかり糊付けをしたい。だから塗るときにはみ出る前提で、下に紙を敷くのだ。

そんなストレスを解消するためにとうとう生まれたのが「角までぬりやすいスティックのり」だ。


コクヨは接着・粘着用品の新ブランド「GLOO(グルー)」の四角いスティックのりを2019年1月より発売。文房具屋さん大賞2019「大賞」を受賞した。デザインは、デザインオフィス「nendo」との協業事業だ。

GLOOは、「貼る」という行為を単なる作業ではなく、新しい価値を生む創造的な行為と位置づけたブランドだ。使うたびに心地よく、そばに置きたくなる製品を目指している。


角までぬりやすいスティックのり (Sサイズ)130円、(Mサイズ)250円、(Lサイズ)380円

実は過去にも、他のメーカーで四角のスティックのりのアイデアはあったのだ。

しかし、四角いボディに四角いキャップをはめると、気密性が保ちにくくなるという欠点がある。気密性が悪いと水分が蒸発してしまい、のりは痩せて固くなり、使うことができなくなるため広く普及することはなかったのだ。

そんな中、GLOOのスティックのりは、四角いのりに対して、気密性の高い丸いキャップをつけるという発想の転換で、気密性を保ち、痩せて固くならないスティックのりを実現させることができた。アイデアを形にすることに成功したのだ。



デザインは、デザイナー・建築家として活躍する佐藤オオキ氏が率いるデザインオフィス「nendo(ネンド)」によるものだ。

のりを使う際、端まできっちり塗れないという、ほんのわずかなストレスや困りごと。そこに着目し、デザインの力で、本気で解決してみせた。

しかし、丸から四角。できそうで、できなかった発想の転換だ。

スティックのりは今から50年前の1969年、ドイツのヘンケル社がリップスティックの構造にヒントを得て、世界初の「プリット」を発明したことから始まる。手を汚すことなくのりづけできるスティックのりは瞬く間に世界的に使われ、一般化した。

50年の時を経て、スティックのりは丸から四角になった。極めて身近なイノベーションではないだろうか。

文=飯村彩花 写真提供=コクヨ

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