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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

いすゞユート

昨年の8月に、オーストラリアの市場に衝撃を与えたいすゞD-MAXという過激なSUVについての記事を書いた。そして、そのコンセプトカーの迫力のルックスを、映画「トランスフォーマー」に出てきそうなロボットに例えた。

ご存知のとおり、いすゞという自動車ブランドは日本の市場から完全に消えてしまったが、海外、特にオーストラリアや英国などでは、同社はたいへん人気で、いろいろな賞を獲得している。

今回はまた読者の皆さんが驚く話をお伝えしよう。というのは、「いすゞユート」がオーストラリアでの影響力のあるロイモーガン調査会社が主催する「ベスト・オブ・ベスト賞」を授賞したのだ。

ユートというのは、あまり聞き慣れないかもしれないが、由来はユーティリティという語で、その意味はマルチパーパスだ。アメリカでいうピックアップ・トラックのようなクルマだと思っていい。

今回のアワードの面白いところは、これが自動車に与えられる賞ではないことだ。ロイモーガンによる顧客満足度調査は、実は食品、酒屋、銀行、保険会社、航空会社、家具屋など、あるゆるジャンルの商品を評価するアワード・プログラムだ。その土俵で、いすゞユートというSUVは、どのジャンルの商品をも上回る「ベスト・オブ・ベスト賞」 をゲットした。つまり総合優勝を果たしたのだ。

満足度の最高得点はなんと96.1%で、ダントツ1位だった。2位には93.5%を獲得したフードランドという食品販売、3位には93.3%をとったダンマーフィという高級酒屋。上位には、イケアやカンタス航空もランクインされたけど、一般顧客のいすゞに対する満足度はハンパない。

同調査会社は毎年、5万人の回答者に聞き取り調査を行い、結果を集計して、クルマ、食品、保険会社などの項目でリザルトを出す。いすゞは96.1%で、もちろんクルマ部門を制したけれど、その高得点がどの項目の勝者よりも高いパーセンテージに当たるので、「ベスト・オブ・ベスト賞」となったわけだ。いすゞという小さいブランドが、レクサスなどを上回るのは初めてのことだ。



では、なんでいすゞが賞をとれたのか?

実は、オーストラリアでも一番売れているのは、トヨタ・ハイラックスなのだが、今回いすゞユートがそれよりもより高い点数が取れた理由は、顧客がそのデザイン性、信頼性、走りを高く評価しているということだ。やはり、日本の面積の20倍もあるオーストラリアでは、すぐにオフロードに行けるし、しかも国民のアウトドア志向のライフスタイルに、いすゞユートのようなSUVはぴったり合ってるからね。

では、いすゞが成し遂げたことはどれだけ凄いか、というと、実はオーストラリアは、吉利汽車、チェリー、グレート・ウォールなどの中国産の自動車会社を含む70の自動車メーカー・インポーターが競争する国だ。一人ひとりが車で移動する時間も距離も長い。だから、評価が厳しいと同時に、各社は多彩で激しい販売競争を展開する。

それを考えると、今回の受賞はいすゞの品質管理の良さに感動するしかないだろう。ちなみに昨年のロイモーガンのウィンナーだったのは、欧米の満足度調査で毎年、最優秀賞を取り続けてきたレクサスだ。

いすゞは世界でこんなに高く評価されているわけなので、そろそろ日本に再上陸してもいいのではないだろうか。海外で人気のユートをベースにSUVを作れば、117クーペやジェミニなどの名車を懐かしく思うファンや、ユートを新鮮に感じる新しいユーザーを獲得できるかと思うのだが。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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