管理職で軽視される「ソフトスキル」の大切さ

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効果的なマネジメントについて考える時に、ソフトスキルが真っ先に頭に浮かぶことはない。

人はマネジメントを考える時に、権威や支配、カリスマなどの「看板」的な特徴や、クールな「数量的」スキル、高度なデータ分析といったものに注目しがちだ。私は数十年前にMBAを取得したが、当時受講した16のコースの中で「ソフトスキル」という言葉を聞いたことはなかったと思う。

それでも私は、管理職のソフトスキルは、マネジメントの世界で究極の成功を左右する要素として、より「ハード」なスキルとまったく同様の重要性があると考えている。

では、「ソフトスキル」とはいったい何なのだろうか? これについては、いろいろな考え方があるだろう。世にあるソフトスキルに関する文献では、それぞれ微妙に違った定義をしている。とはいえ私は、マネジメントにおいて実質的価値があるのは、以下の10項目だと考える。

・コミュニケーション力
・傾聴力
・自己認識力
・共感力
・忍耐力
・指導力
・励まし
・気遣い
・機転
・良識

これらは全て、エンゲージメントや忠誠心を生み出し、従業員に質の高い仕事を長期的に促すようなマネジメント環境を作る上で役に立つものだ。もちろん、他にも多くのスキルが考えられるだろう。ここに挙げられていないものの、特に重要だと思うものがあれば、ぜひ教えてほしい。このリストは常に改善していきたい。

結果は(当然ながら)重要

私は、ハードスキルに価値はないとか、マネジメントで確固たる結果を出す必要はないと考えているわけではない。マネジメントは簡単なことではないし、決してそうであってはならない。良い結果を出さなければ、すぐに戦力外となってしまうだろう。

では、どうすれば結果を出せるのか?

私が強調したいのは、(時に忘れられることだが)マネジメントとは「他者を通じて仕事を成し遂げる」ものであるということ。そして他者に対し、自分のためにその仕事をしたいと思わせる必要がある。それを毎日、毎月、そして願わくは毎年継続しなければならない。

私に言わせれば、管理職がソフトスキルを無視すれば、その付けは自分に回ってくる。権威や支配ばかりに頼っていれば、あっという間にその効果はなくなる。思慮深いコミュニケーションや忍耐、良識などのソフトスキルは、硬い角をなめらかにし、経営面での日々の要求をのみ込みやすくする。首を絞められているような感覚は生まない。

私たちは管理職の人材を雇う時、感情的な能力よりも専門技能を重視することが多い。ソフトスキルよりもハードスキルを優先するのだ。それは理解できる。ハードスキルは重要で、特定もしやすい。しかしこのバイアスは、現在のマネジメント環境に染み込んでしまった従業員エンゲージメントの慢性的低水準のまん延に寄与している。

マネジメントに長年関わってきた私の経験では、部下は(皮肉なことに)強固なソフトスキルを有する管理職に対して良い反応を見せる。それは当然のことだろう。

編集=遠藤宗生

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