先日、バルセロナで開催のモバイル・ワールド・コングレス(MWC)の主役となったのが、2600ドル(約29万円)で発売予定のファーウェイのMate Xだ。この端末は広げれば8インチのタブレットになるフォルダブル端末だ。
価格の高さから、Mate Xはマス向けの製品にはならないとの見方もあるが、アナリストはこのデバイスが中国でアップルから市場を奪うと分析する。中国のウルトラリッチな起業家たちにとって、1000ドル程度で売られるiPhoneは魅力を失った。iPhoneはイノベーション面で遅れた製品であり、富裕層は高価であっても未来的なデバイスを求めている。
「かつては、中国の富裕層の憧れの対象はiPhoneだった。しかし、彼らは今、Mate Xが今年の夏に発売になるのを待っている」と調査企業カウンターポイントのJames Yanは話す。
Mate Xが市場に投入されれば、ファーウェイのハイエンド端末のPシリーズやMateシリーズの売上も高まるとアナリストは述べている。世界に先駆けて折りたたみ式端末を発表したことで、ファーウェイはブランドイメージを飛躍的に高めた。
「MateXの発表により、中国の消費者は他のファーウェイ製品にも目を向けるだろう」と調査企業カナリスのJia Moも述べた。
アップルは既に、中国での苦戦を認めていた。IDCは2018年第4四半期の中国向けのiPhone出荷台数が、前年比20%減の1180万台になったとレポートした。一方、ファーウェイは同期間に中国で前年比23%増の3000万台を販売し、中国でトップのスマホメーカーの地位を万全にした。
ファーウェイのスマホはiPhoneよりも安価だが、先進的な機能を揃えている。597ドルから販売されるMate 20シリーズは、トリプルカメラを搭載し高画質な写真が撮影可能だ。
OPPOも5G対応でiPhoneを撃破へ
中国での販売をテコ入れするためにアップルは、同社としてはかなり稀なディスカウントを行った。最新モデルのiPhone XRの中国での公式価格は約1045ドルだが、アリババのTモールでは791ドルから購入可能だ。アップルはアントフィナンシャルと組んで、金利無料のローンも用意して、iPhoneの売上を高めようとしている。
この戦略は今年2月までの範囲では、功を奏したとカナリスのJiaは述べた。しかし、中国ではファーウェイだけでなくOPPOなどもiPhoneの追い上げにかかっている。
OPPOは今年のMWCで、同社のフラッグシップモデルFind Xの最新版を発表した。この端末は5G通信に対応し、10倍の光学ズームレンズを搭載している。
「2019年の終わりまでに、折りたたみ式端末を発表するメーカーはさらに増えるはずだ」とカウンターポイントのYanは話す。
「中国のスマホメーカーは今や、プレミアム端末を主力に考えるようになった。アップルのブランド力が2、3年前と比較すると下落した中で、彼らがその市場を奪いつつあることは明らかだ」とYanは話した。