過去の文科省の声明も、現場は無視
ここ数年、二転三転している就活ルール。経団連が2018年10月、今の2年生以降の就活において、ルールをつくらないと決定。そこから政府が主導となって、「企業説明会は3年生の3月から、面接は4年生の6月から」という現行のルールを当面維持する方針を決定していたが、インターンの規定は未定だった。その最中の、この報道である。
2017年には文部科学省が「インターンと採用活動の直結は避けるべき」という声明を出していたが、実質、多くの企業が“無視”していた。経団連に加盟しない企業は早期からインターンシップ参加希望の学生を集い、有望な学生との接点を創出。
著者の周りの企業でも、インターンを経て内定を獲得するケースが幾つもあった。また、インターンに参加した学生のみの早期選考会が存在したり、面接解禁日に内定をもらったという学生の声を幾度も聞いている。最近では大手もこの流れを汲んでいる。
アメリカではインターンが内定への最短ルート
ちなみに海外はどうなのか?アメリカのインターンシップ事情に詳しいアメリカ・カリフォルニア大学、サンディエゴ校の講師に話を聞いた。
「アメリカの場合は、夏季休暇が6月・7月・8月と3ヶ月の休暇があり、かつ長期インターンシップの門戸が常に開かれています。あくまで一例だが、以下のようなインターンシップに参加する学生もいるのです。
1年時にはオラクルやIBMのような歴史ある大企業のインターンに参加。2年生時には、facebookのようなメガベンチャー、3年時には、買収時のインスタグラムのようなベンチャー企業(社員数が当時100名以下)、そして4年時には、設立間もない数名のスタートアップ。幅広い業種や企業規模の会社に長期インターンに参加し、実務を通して自身の適性や価値観と照らし合わせることでギャップのない就職を目指しています。
日本との最大の違いで言えば、ほとんどの学生が3、4年時にインターンをやるということでしょうか。なぜなら、学生のほとんどが企業からの内定を望んでいるからですね」
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イタチごっこの行方
ただ、今のルールと同様、政府の新ルールにも罰則などはなく、どこまで実効性を持つかは不透明で、今後もステルスでのインターン採用が続くのは明らかだろう。
例えば、長期インターンシップに参加していた学生が就職活動前にインターンを卒業。その後、正式に採用面接......という流れを汲むが、その学生が長期インターン時代に優秀と判断されていれば、面接は形式上のものでしかなくなる。
すると今度は、「インターンシップそのものの是非」が問われてしまうのではないだろうか。ここまで議論が及ぶのは、「ちょっと深めの社会科見学」としてのインターンシップの機会が失われることになってしまう。
以前から、「インターンからの採用直結」に関する是非は問われていたが、今回の政府としての禁止要請が正式なものであれば、それは異例とも言える。今後もForbes編集部として、定期的にインターン採用の実情について追いかけていきたいと思う。