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就任してすぐベルマールは、資金集めに奔走した。そしてCシリーズに関して最大のライバルだったエアバスと提携。発行済み株式の過半数を譲渡することで、同シリーズにかかっていた資金の垂れ流しを食い止めた。

資金集めと並行してベルマールは、オペレーションを引き締め、コストを徹底的にカットした。中でも鉄道部門が一番のターゲットとされた。同部門は、世界中で買収した企業をつぎはぎしたものだったため、ビジネスとして統合されていなかった。ベルマールは即座に7700人を解雇し、サプライヤーの数も1万から4500へと削減。さらに各国向けにバラバラに行われていた類似車両の製造を中止した。

ボンバルディアに関わって3年でベルマールは、同社を近年の業界の中でも際立った再建の道へと導いた。しかも彼は、わずか12.3%の株式しか持たないボンバルディア=ボードワン・ファミリーに支配を許してきた仕組みを終わらせなければならないという強いプレッシャーの中でやり遂げた。

ボンバルディアでは20年の研究開発コストとして、年間およそ8億ドル(約874億円)を予算計上しているが、大型航空機を新規に開発するには全く足りない。しかしベルマールは、限られた資金を上手に活用できることを証明した。ボンバルディアが最悪の状況に苦しんでいる時、彼はCシリーズに続く機体の開発に備えるプログラムを推進した。

18年5月、ボンバルディアはロールス・ロイス製のパール・エンジンを搭載した高級大型エグゼクティブジェット2機種(グローバル5500と6500)を公開し、業界を驚かせた。各空港で航空愛好家らが目を光らせる中、完全に秘密で新規プロジェクトを進めるのは至難の業だった。新規開発された2機種は、19年に市場へ投入される予定だ。

00年代初頭の大不況以来となるビジネス航空機市場の活気のおかげで、タイミングはいい。ビジネスジェット部門が3四半期に渡り成長を続けるボンバルディアは、20年の総売上高に、25%増の200億ドルを目指している。「我々は課題や問題から逃げない」とベルマールが語るボンバルディアは、もはや緊急着陸態勢ではないことは確かだ。


アラン・ベルマール◎1996年にユナイテッド・テクノロジーズに入社し、18年のキャリアの最後の3年は同社の宇宙航空部門のトップを務める。ボンバルディアのCEOに就任して最初の9カ月間は、1日わずか3時間しか睡眠時間を取れなかったという。

文=ジェレミー・ボガイスキー 翻訳=フォーブス ジャパン編集部

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