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フォーブス ジャパン ウェブ編集部

ニッセイ基礎研究所 主任研究員  久我尚子

2019年5月。新元号がスタートする。平成の30年間を振り返れば、テクノロジーの加速度的な進化、人々の意識を変えた自然災害や事件、ニュースにいとまがない世界情勢、実に多くの事象とともに流れた時代だ。

元号は時代を表す。経済や社会情勢はもちろん、温度感や人々の性格までも表現する。平成生まれは当初若さの代名詞であったし、ゆとり世代と評される若者も生んだ。次の年号も、いずれ同様にその特徴を以って「○○」世代が生まれるだろう。

一括りに世代論は乱暴かもしれないが、各世代の人たちが考える時代感、消費、そして人生について、元号が変わるこの時にあらためて世代をもとに考えてみる。

消費を知る「モノ」ごころつく年齢の時代背景

ニッセイ基礎研究所で消費者の行動、働き方、その背景にある暮らしなどを統計学やマーケティングによって分析する久我尚子は、いわゆる世代論としての呼称や特徴は、確かによく表しつつも、ベースの部分では属性や価値観の生まれる時期によって形成されると語る。

「例えば消費の楽しさを知る、社会人になって自由に使えるお金が増える、そういった時に世の中がどうだったかということが大きく影響します。その意味ではバブル世代はわかりやすくて、平成元年入社の方とかは社会人になったときに世の中のイケイケ状態で形成される価値観と、一方で今の30代以下ぐらいの就職氷河期世代(←氷河期自体は40代も含む広い範疇)は物心ついたときからずっと日本経済は低迷しており、ただ情報通信の技術は進化し、デフレの恩恵も受けているためお金を使わなくても楽しい消費生活が送れていますという価値観。この違いは大きいのです」

少し世代名をおさらいする。今、最も人口比率が高いのは団塊世代。2025年問題の当事者で、日本の消費を牽引してきた方たちだ。バブル世代をはさみ、二番目に多い団塊ジュニア。その下はというと、広く氷河期世代とくくられながら、ゆとり・さとり世代と続き、日本流ミレニアル世代となる。

属性や価値観が違えば、ものの見方も変わる。バブル経験者の上司がゆとり世代と会話をすれば、齟齬が無いほうが不思議だろう。久我の話は進むにつれ、世代の特性を浮き彫りにする。

暗黙知はない。違うものは違う、その価値観が正しいと思えるのは「強い」

──たとえば「ゆとり」世代という言葉はあまり良くない意味で使われうことが多いです。その評価はそもそも当たっているとお考えですか?

ゆとり教育とは偏差値教育からの脱却が柱でした。皆それぞれ価値があるんだよと、いわゆる「個性の尊重」だったので、その教育の影響が彼らを表しています。

自分が正しいという自信を持っているというか、例えば、上司からの指示で出来上がったものを見たら、暗黙知の部分が全部欠如していて、これは当然やるんじゃないのと上司は感じる、でもそれは教えてもらっていないからやりませんと言えてしまうような、その考えは自分の価値観が正しいと思えるからですよね。

──私は上の世代ですが、そう聞くと、自信を持てることが逆にうらやましかったりします。例えばその人たちが「何かを買う」という行動の場合も、ある意味流されずに自分のコミュニティの中でこれいいよね、となる?

80年、90年までは、CMなどのマスで消費者をかこってきました。それが今は自分の周囲、輪の中でいいねと思われることに興味を持ちやすくなっていますね。世代が違えば、情報の流れも価値があるものの対象すら変わってきます。

SNSが良い例で、インスタだったりツイッターだったり、横の流れで小さい輪がたくさんできて、その中で回ったものが流行るという構造ですね。モノやサービスが圧倒的に増えた今、爆発的なヒットが生まれにくいのは多様化ということだと思います。

──ただ、これからの時代の主役というか消費の中心も、団塊ジュニア以下の若い世代になっていく中で、特に今の30代以下は流行を牽引している印象がない。やはり多様化した価値観ということでしょうか。

加えて、そもそも若い人たちはお金をとても堅実に使うということでしょう。

──それ、よく聞くお話です。例えばクルマを買わなくなった若者とか、ブランド品が売れないとかですね。

もうすでに所有がすごいという価値観ではないんですよね。私どもの様々なデータを見たところ、若者の共通の特徴として、年収が高くても低くても「モノは買うよりレンタルで済ませたい」とか「ポイントサービスをよく使う」とか、計画性や預貯金にしても、全体的にお金の意識が高いんです。

一方で、20代30代の年収の上位3割で見ると「多少高くても品質が良いものを買う・欲しい」という思考が強まるんです。

──賢いと。

そうですね賢い消費者です。デジタルネイティブであるため情報収集に長けてリテラシーも高い。それは金融リテラシーの高さにも繋がる話です。生活まわりはファストファッションなどコスパの良い製品があり、一方で暮らしを良くするとか、キャンプが好きだからクルマを買ったんだとか、ある製品の歴史が好きだからとか、ストーリーの中にモノがはまるとそれは買われる。

バルミューダのトースターが高額でも売れたのは、モノを持つことが先ではなく、いつもの朝がゆたかになることといった具合に。収入増が消費に回ることはなく、必然的に貯蓄も増える。ブランド品についてもシェアリングでいい。レンタルが恥ずかしいという価値観がない。利用できる商品があればそれでいいので、経済コストとして一番合理的な方法を選んでますみたいな感じです。

文=坂元耕二 写真=西川節子

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