香味料と香辛料の最新トレンド 鍵は便利さとユニークな体験

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6. 塩

おしゃれなダイニングテーブルにヒマラヤ岩塩が置かれているのを見ることがあるだろう。米誌「アトランティック」によると、ヒマラヤ岩塩が味や健康を改善するという証拠は全くない。また、長年の間心臓に悪影響をもたらすと信じられてきた塩の有害さが疑問視されるようになったことからも、食卓塩が増加している。

香辛料販売分野の現状

香辛料・香味料自体を独立した販売分野とすることもできる。554種類の香辛料や香味料を販売するセーバリー・スパイス(Savory Spice)は米国に28店舗を抱える小売りチェーンで、ネット販売も行っている。同社は味付けを個人に合わせることでリピーターを確保し、小規模なビジネスを通して事業の拡大を目指している。

同社の創業者であるジャネットとマイク・ジョンストン夫妻は「世界とインターネットにより、エキゾチックな料理がそれほどエキゾチックでなくなっている。香辛料は異文化や他地域の味を自宅で素早く実践できる簡単な方法だ」と述べた。

「クミンは私たちが子どもの頃、家の香辛料ラックには入っていなかった。しかし今では当社の人気香辛料トップ5に入っている。クミンはメキシコ料理やインド料理、モロッコ料理に欠かせない香味料で、テクスメクス(テキサス風メキシコ料理)のチリパウダーをクミンなしで作ることはできない」とジョンストンらは述べた。

セーバリー・スパイスでは、消費者が自分では手に入れづらい黒にんにくのような香辛料が人気だ。黒にんにくは1カ月発酵させたニンニクで、元々は朝鮮半島の香辛料だが現在は米国でも生産されており、フムスに使われる人気の材料となった。こうしたよりエキゾチックな香味料を提供することは、セーバリー・スパイスのような専門小売業者の鍵となる強みだ。

今後の動きは?

消費者が塩とコショウを購入し補充することで構築された業界において、消費者にユニークな体験をもたらすことは難しい。その点で、食品と香辛料のビジネスは他の消費者製品ビジネスと同じ課題に直面している。

消費者は、個人に合わせたものを便利な方法で手に入れたい、自分独自の食事をより多く作りたいと思っている。それを大規模なレベルで提供できる企業こそ、勝利を収めることができる。

翻訳・編集=出田静

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