現代では、家で食事をする機会が増えている。米国人の中で、自宅で食事をすることが増え、外食の機会が減っていると答えた人は83%に上った。また主要なスーパーマーケットでは、包装された製品を並べたセクションと比べ、新鮮な商品を販売するセクションが倍の速度で成長している。
消費者トレンドからは、新鮮な食材や世界各国から集めた香味料、より健康的な代替食品に消費者が関心を寄せていることが示されている。食品や香味料は、これからどういった方向へ向かうのだろう?
この点を明らかにするため、私は複数の人を取材した。その一人は、50億ドル(約5600億円)の売り上げを誇る世界最大の香辛料メーカー、マコーミックでグローバル消費者・南北米大陸部門を担当するブレンダン・フォーリー社長だ。
ここでは、フォーリーをはじめとする専門家が指摘したトレンドを紹介する。
1. 自宅での調理の機会の増加
自宅で調理する機会が増加していることで、プロのシェフの決断よりも消費者の決断が大きな影響力を持つようになっている。食品・香味料企業にとっては、消費者に直接働き掛けることが重要になる。そのためには、ソーシャルメディア上での存在感を強化することが必要だ。
2. 辛み
コショウの使用が増えている。フォーリーは、コショウを使用することで消費者は料理をカスタマイズすることができ、香味料を簡単に試せると述べた。
3. 種子
栄養素が豊富な種子は、さまざまな料理にトッピングすることで食感や見た目を改善できる素晴らしい食材として認識されている。種子は味を吸収するため、香味料や香辛料の効果を増幅させることができ、より記憶に残る味を作り出す。
4. 便利さ
他の多くの消費者行動と同じで、香辛料の分野でも便利さが鍵となっている。マコーミックでは、顧客が自分で作れないような香辛料ブレンド商品の売り上げが伸びている。消費者が自分でブレンドすることは難しく、時間もかかるトリュフソルトが良い例だ。
また、東アフリカの香味料も新たなトレンドの一つだ。唐辛子、にんにく、ショウガ、バジルが含まれるグリル用香辛料ブレンド「ベルベレ」を、消費者が一から正しく作るのは難しい。しかし事前にブレンドされたものを使えば、簡単に料理をカスタマイズできる。もちろん香辛料企業にとっては、こうした付加価値のある商品の方が利幅は大きい。
5. レシピの減少
書かれたレシピを使わず、自分自身で料理を作ることを好む消費者が増えている。