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たとえば、店頭で「インターネット接続ができるテレビ」に興味がないお客様にも、「付加価値」を感じでもらうための工夫を凝らす。店頭スタッフが「インターネットに繋げば、ネットフリックスが視聴できる」とお客様に明示的に伝えてあげる。さらには、アカデミー賞候補作品など、より期待値が高まりやすい作品名を訴求していくことは欠かせない。

メーカー側とも、テレビの販促に繋がるということで利害が一致するので、コンテンツ訴求のプロモーションには協力的だった。中でも、ネットフリックスが日本上陸を果たした2015年ごろは4Kテレビの商戦だったため、ネットフリックスは4Kのコンテンツを最も保有するサービスとして、あわせて販売を訴求していくにはぴったりの商材だったという。

その他、オフラインチャネルの開拓も、トライアルとして積極的に行っている。たとえば、2018年にはJOYSOUND直営店のカラオケルームに「Netflixルーム」を期間限定オープン。ソニーの4K液晶テレビ、ドルビ―アトモス対応スピーカーを設置し、世界最高峰の映像空間を楽しめる場を実現した。

また、蔦屋書店の店舗では、ネットフリックスを搭載した「Air Stick 4K」を体験できるリアルイベントを実施。ストリーミング配信技術の認知獲得を目的とし、オリジナルコンテンツのDVDをレンタルする顧客に、同デバイスでの視聴を呼びかけた。

ユーザーファーストの“見えない”イノベーション

こうしてユーザーがネットフリックスに接続可能なデバイスを手にしたら、次は視聴を促すためのフックを仕込んでいく。同社はユーザーが「テレビを立ち上げ、ネットフリックスを利用し、実際にコンテンツの視聴を終えるまで」の一連のプロセスを、より利便性高く行えるよう、連続的にイノベーションを起こしているのだ。

たとえば、2011年から世界的に普及が始まり、日本上陸当初からも、テレビを立ち上げ後のステップをショートカットするために、リモコンにネットフリックスボタンを設置。



メーカーとの交渉においては、ネットフリックスが「世界で最も使われる動画アプリ」という事実が効き、協力を得ることに成功した。

そして、あらゆるデバイスで円滑な視聴体験を実現するべく、インフラ構築にも注力。日本進出時から、海外仕込みの筋肉質なバックエンドを提供してきた。というのも、2015年以前、各社のストリーミング機能では、通信環境によって、動画コンテンツが停止する事象が散見されていた。

しかし、ネットフリックスでは、そんな事態は起こらない。バックエンド側で、配信サーバーと端末側における通信状態を常にチェックし、あらゆるユーザーの通信環境、視聴内容に応じ、配信を最適化しているからだ。

他にも、最適な画質で視聴するために、ソニーBRAVIA MASTERシリーズにおいて「Netflix画質モード」を共同開発。テレビ製品に特定の映像配信サービス向けの機能を搭載することは、極めて異例だ。ソニーとは「クリエイターの制作意図を忠実に再現したい」とのビジョンが一致し、3年の研究開発期間を経て、2018年にリリースにこぎつけた。映像業界からの反響は大きく、早速他メーカーからも相談を受けている状況という。

 

「ネットフリックスが、”最高の視聴体験”を広くあまねく届けるためには、パートナーシップが不可欠です。実績のあるテレビの技術開発はもちろんのこと、小さなイノベーションの積み重ねが最高の視聴体験に繋がるとの信念に基づき、デバイスにこだわらずビデオ・オン・デマンド業界で先駆けとなるチャレンジを続けていきたい」

文=梶川奈津子 写真=小田駿一

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