1歳の娘の将来をこの上なく心配するフォーブス ジャパンの編集者が、大胆にも来日した世界3大投資家 ジム・ロジャーズに「子供の進路相談」を持ちかけた。
ジムは開口一番こう答えた。
「絶対英語よりも中国語を学ばせたほうがいい。なぜなら、アメリカは衰退し、中国が再び世界の頂点に君臨することは明らかだからです」
自信満々に語る真意とは?
──グーグルやアップルやアマゾン、マイクロソフトなどは相変わらず好調ですし、シリコンバレーにおけるスタートアップにも勢いがあります。アメリカは今後も安泰、という見方もできるかと思いますが。
決してそんなことはありません。不思議なことに日本であまり知られていないようですが、今のアメリカは「有史上最大の債務国」なのです。増え続けているその債務は対外純資産が約マイナス900兆円(2017年末地点)と他国に抜きん出ています。
──900兆円とは莫大ですね。株式は好調なようですが。
それが危ないのです。アメリカの株式市場は、2009年3月底を打って以来、10年間上昇を続けています。これはなんと史上2番目の長さです。
歴史を学んだことがある人なら誰でも「現在のアメリカの上昇相場がいつか止まる」「そこから世界的な経済危機が起こるかもしれない」ということを容易に予想できるでしょう。
僕は今、日本の株を全く持っていない
──アメリカが危ない、となると日本はどうですか?
残念ながら目も当てられない状況に陥るでしょう。足し算と引き算ができる人なら明白です。
日本は債務が膨らみ続けています。その額、なんと1100兆円(対外純資産は世界一位のプラス約300兆円ですが)。こうしている今もとてつもない勢いで増加しています。これは単純な足し算。
対して、日本の人口は絶望的なスピードで減っています。この低下するグラフに延長線を引いていきましょう。20年後は凄惨な状況であることが一目瞭然です。これは引き算。
この2つが同時に進行しているのです。
──たしかに。時々議論される問題ですが、多くの人は楽観視、もしくは思考停止に陥っている気がします。
クレイジーな外人が適当なことを言っているのではなく、これは事実なんです。でもだからと言ってこれを正視して行動を起こす人は少ない。私だったら心配して移住するでしょう。
債務と人口の変革をしなければ、生活水準が落ちるのは当たり前。だから何も新たな行動をしなければ、それは受け入れたも同然なのです。
──聞くのも怖いですが、ジムさんは、現在日本の株はお持ちですか?
今、僕は全然日本株を持っていません。日本は最も大好きな国の一つですけどね。今日も富士山柄のサスペンダーとネクタイをつけてるくらいですし、富士山にも登頂しました。