ジム・ロジャーズの提案 「子供が15歳なら韓国語、1歳なら中国語を学ばせなさい」

投資家ジム・ロジャーズ

少子高齢化と人口減少、社会保障費の増加など日本には問題が山積している。

1歳の娘の将来をこの上なく心配するフォーブス ジャパンの編集者が、大胆にも来日した世界3大投資家 ジム・ロジャーズに「子供の進路相談」を持ちかけた。

ジムは開口一番こう答えた。

「絶対英語よりも中国語を学ばせたほうがいい。なぜなら、アメリカは衰退し、中国が再び世界の頂点に君臨することは明らかだからです」

自信満々に語る真意とは?


──グーグルやアップルやアマゾン、マイクロソフトなどは相変わらず好調ですし、シリコンバレーにおけるスタートアップにも勢いがあります。アメリカは今後も安泰、という見方もできるかと思いますが。

決してそんなことはありません。不思議なことに日本であまり知られていないようですが、今のアメリカは「有史上最大の債務国」なのです。増え続けているその債務は対外純資産が約マイナス900兆円(2017年末地点)と他国に抜きん出ています。

──900兆円とは莫大ですね。株式は好調なようですが。

それが危ないのです。アメリカの株式市場は、2009年3月底を打って以来、10年間上昇を続けています。これはなんと史上2番目の長さです。

歴史を学んだことがある人なら誰でも「現在のアメリカの上昇相場がいつか止まる」「そこから世界的な経済危機が起こるかもしれない」ということを容易に予想できるでしょう。

僕は今、日本の株を全く持っていない

──アメリカが危ない、となると日本はどうですか?

残念ながら目も当てられない状況に陥るでしょう。足し算と引き算ができる人なら明白です。

日本は債務が膨らみ続けています。その額、なんと1100兆円(対外純資産は世界一位のプラス約300兆円ですが)。こうしている今もとてつもない勢いで増加しています。これは単純な足し算。

対して、日本の人口は絶望的なスピードで減っています。この低下するグラフに延長線を引いていきましょう。20年後は凄惨な状況であることが一目瞭然です。これは引き算。

この2つが同時に進行しているのです。

──たしかに。時々議論される問題ですが、多くの人は楽観視、もしくは思考停止に陥っている気がします。

クレイジーな外人が適当なことを言っているのではなく、これは事実なんです。でもだからと言ってこれを正視して行動を起こす人は少ない。私だったら心配して移住するでしょう。

債務と人口の変革をしなければ、生活水準が落ちるのは当たり前。だから何も新たな行動をしなければ、それは受け入れたも同然なのです。

──聞くのも怖いですが、ジムさんは、現在日本の株はお持ちですか?

今、僕は全然日本株を持っていません。日本は最も大好きな国の一つですけどね。今日も富士山柄のサスペンダーとネクタイをつけてるくらいですし、富士山にも登頂しました。


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取材・文=松浦朋希 写真=菅野祐二

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