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アップルはゴールドマン・サックスと組んで、新たなクレジットカードを立ち上げようとしている。今後数週間以内に、社内のテスト版を始動させる計画という。

このカードで、アップルはiPhoneの決済システムを統合し、家計管理を支援するアップルウォレットや、アップルペイとも連携させて利用者を呼び込みたい考えだ。

「アップルはクレジットカードの発行により、同社のエコシステムをより強固にしたい意向だ」とWedbush Securitiesのアナリスト、Dan Ivesは述べた。

アップルが長期的ゴールとして目指すのは、中国のアリペイやWeChat Payのように、旅行の予約やライドシェアの決済もできる、総合的な決済プラットフォームだろう。「アップルが夢を実現するまでの道のりはかなり遠い。しかし、これは意義のある試みだ」とコンサルティング企業D.A. DavidsonのTom Forteは述べた。

ベインキャピタル・ベンチャーズのMatt Harrisは「アップルとゴールドマンという2つの大企業が提携することで、両社のブランドに親しみのある顧客を呼び込める」と述べる。しかし、気になるのはカード利用にどのような特典を持たせられるかだ。

アップルのクレジットカードは、マスターカードの決済ネットワークを利用し、約2%のキャッシュバックがつくという。しかし、マイレージや空港ラウンジ利用などの、旅行関連の特典を付与する予定はないという。

「とりあえず様子見というスタンスで、アップルはこの市場に乗り込む」とWedbushのIvesは話す。仮にうまくいくようであれば、オペレーションを強化する見通しだという。

Ivesによると、アップルは直近ではコンテンツ分野に集中的に資本を投下しており、CBSやバイアコムのような大手製作スタジオの買収に乗り出す可能性もあるという。

「しかし、アップルは巨大なリソースを抱えており、多様な施策を試せるポジションにある。どの事業がうまくいくかを見極めようとしている」とIvesは続けた。

普及が進まないアップルペイ

一方で、ゴールドマンは長年、富裕層向けの資産マネージメントに特化してきたが、今回のカード発行によって、市場を拡大できる。ゴールドマンは2016年に個人向けインターネット銀行「マーカス」を立ち上げており、既に270億ドルの資金を預かっている。つまり、アップルの顧客に貸し出すための資金は十分あるのだ。

一方で、アップルペイは当初の期待に反して普及が進んでいない。米国人の大半は今でも伝統的なクレジットカードを好んでいる。ベンチャーキャピタルのLoup は、米国のiPhoneユーザーのうち、アップルペイを有効にしているのは4分の1以下だと試算している。

Ivesはアップルのクレジットカードがアップルペイの普及を促進することはない、と考えている。「この分野は競合企業がひしめきあっている。意味のあるレベルの利用者を獲得することは難しい」

ベインキャピタルのMatt Harrisも同意見だ。「このカードが100万人のアクティブ利用者も獲得できれば、大きな成功といえるだろう。しかし、それでも米国全体のクレジットカード利用者の1%にも満たない」と彼は話す。

仮に100万人のアップルのクレジットカード加入者の、20%がアップルペイを利用すれば、新規で20万人が加わることになるが、Harrisはこう続けた。「これは、さほど意味のある数字とはいえない」

編集=上田裕資

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