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2019.02.28

ヴェルディ黄金期よ、再び。アカツキ、経営参画までのドラマ

(左)アカツキ代表取締役CEO 塩田元規(右)執行役員 経営企画部部長兼事業開発部部長 梅本大介




要するに、「エンブレム」が人を動かすのかなと僕は思うのです。ここでいうエンブレムとは単なる紋章ではなく、いわゆるブランドです。海外で人気のサッカークラブ、バルセロナやマンチェスターユナイテッドもブランド自体の価値が高い。だからユニフォームのスポンサー掲載に破格の金額がつくわけです。

これはeスポーツでも同じ。だから私たちは2018年、スペインのFCバルセロナやフランスのパリ・サンジェルマンなどが参加するPROFESSIONAL ESPORTS LEAGUEを子会社化しました。eスポーツチームだけど、バルセロナはバルセロナ。エンブレムに思い入れがあれば、応援する理由になると考えているのです。

梅本:たとえば自分の子どもが「サッカー選手になりたい!バルセロナのカンテラに入るんだ!」と言ったら親は「頑張れ息子!」ってなるでしょう。ただ、「ゲームでプロ目指すんだ」と言われたら、みなさん、どういうリアクションしますか?今だとまだ、あまりよく思わない親御さんも中にいらっしゃるかもしれません。

でも、「お父さん、僕、バルセロナのeスポーツ部門のカンテラ入る!」と言われたら、「お〜、バルサか!頑張れ!」っていう親御さんが多くなりそうな気がしますよね。子どもがバルセロナのエンブレムを纏える、バルセロナの一員になるわけですから。

代々木公園にスタジアムを、民間の力で。

──最後に、先日、発表された代々木スタジアムの構想(民間で代々木公園内にスタジアム建設を目指す有志のプロジェクト)について。御社も関わっているかと思うのですが、あの座組みについてご教示いただけないでしょうか?

梅本:2018年の4月に一般社団法人『渋谷未来デザイン』が立ち上がることとなり、その中で具体的に今後のスタジアム建設の可能性に関する検討チームを作ることになりました。アカツキは協業パートナーとして、私たちが独自に調査・検討していた内容を持ってプロジェクトに参画し、作業をお手伝いしてきました。

検討プロジェクトのチームには、mixiさんや建築デザイン会社さんなど様々な会社さんが参画されています。プロジェクトチームは、税金を使わず民間の資金で建設、運営をする方法を模索し、実際に、都、国というレベルで建設に関する検討が組織、開始されるところまでを推進していくという有志の団体です。

もし実際に建設がされるということになれば、それは別途コンソーシアムが推進していくものだと想像しています。なので、排他的に先行的に、何か特定の利権を囲い込むということは全く意図していません。



──民間でスタジアム、極めて面白い取り組みですね。

梅本:日本で初めてだと思います。東京のど真ん中にサッカーやライブエンターテイメントが楽しめるスタジアムができる、それはつまり防災の拠点にもなるんですよ。仮に今、東京で大震災が起きた時、代々木公園に何万人という人間が避難しても雨風をしのぐ場所はありませんし、当然トイレも足りません。都心に万が一の受け皿がある、ということも重要なのです。

もちろんスタジアムができることで近隣住民の方が不安に思われることもあるでしょう。そこはしっかりと傾聴しながら研究・解決していければと思います。

──最後に梅本さんの夢について、聞かせてもらってもいいですか?

梅本:代々木のスタジアムでクラブ世界一決定戦を開催し、決勝で我らヴェルディがFCバルセロナと試合をし、勝つ。そして渋谷の街が緑色に染まる、僕はそんな夢をみています。

文=後藤亮輔 写真=寺内暁

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